新たな時代への成長ストーリーを共に創る

マ-ケティング実践研究会 代表理事
日本電気株式会社 グロ-バルイノベ-ションビジネスユニット
小泉昌紀(ニックネ-ム:Masa)


日本電気株式会社(NEC)で、世界を舞台に社会課題の解決を目指したAIベンチャ-事業に従事する傍ら、中小企業診断士としての活動をしている代表のMasaさん。
マ-ケティング実践研究会に携わるきっかけ・意義とこれから、また中小企業診断士として大切にしていることやプライベ-トについて話を聞きました。


※内容は2023年6月1日現在のものです。

日本発のベンチャ-をつくりたい!

-企業内でのお仕事も大変な事業と推察します。そんな中でマ-ケティング実践研究会(以降『マ-ケ研』)に関わるようになったきっかけを教えてください。

仕事の関係でアメリカから帰国した時に『日本発のベンチャ-をつくりたい』と思い中小企業診断士の勉強を始めました。中小企業診断士試験新制度の初年度に受験し2002年に合格、その時に国際的にマ-ケティング活動されているプロコンの先生から、「研究会を立ち上げるから一緒にやらないか」ということでお誘いいただき入会したのがきっかけです。

-なるほど。マ-ケティングへの課題感は潜在的に中小企業診断士にあったということでしょうか?

はい。中小企業診断士には『商業・工業・情報』の3つがあったのですが、2002年に統合され中小企業の経営全部を見るようになりました。

経営というのはどういったものかというと、簡単にいうとヒト・モノ・カネ・情報を投入して企業の成長を目指していくのですが、とりわけ売上を伸ばすにあたってはマ-ケティングが非常に重要だと考えています。

-マ-ケティングというと難しいイメ-ジがありますが、Masaさんのアメリカでの経験が活かされているのでしょうか?

実は、私自身もマ-ケティングに明るくなかったのです(笑)

アメリカのベンチャ-企業では、エンジニアとしてERP(Enterprise Resource Planning)パッケ-ジの研究開発に従事していたのですが、後にパッケ-ジの世界展開をしていく際、『売れないと話にならないな』と痛感しました。ある時、ヨ-ロッパのパ-トナ-候補に対して、マ-ケティングのフレ-ムワ-クを使ってコンセプトを説明したところ、すごく褒めてもらえて成約につながったことが、マ-ケティングという学問が『良いな』と感じたきっかけになりました。

-中小企業診断士として、どのようなことに難しさを感じていますか?

COVID-19以前と以後で大きく時代が変わっているのを感じています。

既存や地域の関係の中で成り立っていたビジネスが、デジタルに移行する過程で、今までのやり方が通用しないということが起こっています。マ-ケティングの第一人者であるフィリップ・コトラ-氏も言っていますが、ある商圏で守られてきたビジネスが、地域、日本全国、世界…と広がった時に、その企業や商品がどういう価値があるものかを顧客目線で表現することがますます求められています。いわゆる「提供価値(バリュ-プロポジション)」が言語化されない限りは、顧客に対して訴求することができず、企業としての生き残りが難しい。これが明らかになったのがCOVID-19の3年間であったと思います。

私も、補助金支援を行う際に、業績低迷にお悩みの中小企業社長から生の声を聞いて、「厳しい時代からこそマ-ケティングが重要なのだ」と改めて痛感しました。

-代表としてはどんな役割を求められていると感じていますか?

2019年に前任者から引き継いで代表になったのですが、まずはマ-ケ研の活動をしっかりと発信していくことが一番重要と考えています。

私たちが21年間蓄積したノウハウを、神奈川県の中小企業の皆さまや中小企業を支援する皆さま、中小企業診断士の皆さまに知っていただき、協力を得ながら大きなコミュニティを作っていくことが求められていると感じています。

一人の中小企業診断士が解決していくには限界があると感じています。様々な分野の専門家を集めることで、相談を受けた際にメンバ-間のシナジ-効果で課題解決を図ることができる場にしていきたいと考えています。

できるだけ早くサイクルを回す!

-マ-ケ研のこれからの展望は?

マ-ケ研のミッションは、かながわの中小企業の成長と地域社会発展を目指すマ-ケティングコンサル専門集団であること。ビジョンは、新たな時代への成長スト-リ-共に創り、共に歩むことです。それぞれの中小企業の持つ“強み”を広く世の中に認めてもらうために、我々の力をもって支えていくことができたらと思います。市場から見た時の中小企業の強みや課題を明らかにし、何をやっていくのが良いのかを共に考えていく存在になりたいと考えています。

-マ-ケ研はどのような活動を軸にしていますか?

マ-ケ研では大きく4つのグル-プに分けて活動しています。

中小企業の強み・課題を理解した上で、次に何をしていけば売上を拡大できるか?を考える売上拡大グル-プ

創業者の想いや強みをブランドとして社会に認知させるにはどのようなメッセ-ジ・見せ方でどんな表現をしたら良いか考えるブランディンググル-プ

ホ-ムペ-ジやSNSを活用して、見てもらうためのアプロ-チをする情報発信グル-プ

今までのフィ-ルドだけではなく新しい市場に対して、新しい事業や製品を展開したい中小企業を支援する新事業開発グル-プ(2023年設立)

メンバ-である中小企業診断士がそれぞれのチ-ムに分かれて、現在の中小企業の事例を調べたり新しい方法を開発したり、実際にクライアントに適用してみたりという活動を行っています。

-これらの活動はいつ頃から始めたのでしょうか?

発足当初は勉強会から始まり、後に方法論の開発が生まれるようになりました。近年はお客様に適用することで、頭で考えたことが実際ワ-クするのかフィ-ドバックが得られるようになったので、このフィ-ドバックをできるだけ早く回して時代感に合わせたご支援ができるよう心がけています。

-マ-ケ研で特に印象に残った事例はありますか?

2008年ごろですが、勉強フェ-ズから自分たちのメソッドを立ち上げたものに『クイック診断』というものがあります。中小企業者自身が“どういう位置付けにあるのかをすぐ知りたい”というニ-ズに対して開発したのですが、フォ-ムに記入いただければ次に何をすべきかアドバイスを受けられるものになります。横浜で1年に1回行われるテクニカルショウヨコハマというイベントにおいてクイック診断を活用し、ヒアリングから課題に対するアドバイスまでを30分程度で行うことに成功しています。クイックにル-プを回した事例として非常に印象に残っています。

また、外部環境の変化で端境期にあった中小企業者さんに対し、お悩みをチ-ムで解決して非常にご満足いただけた事例があります。こちらは実際に皆で伺って、チ-ムで問題解決できたという点において大変印象に残っています。

マ-ケ研には様々な業界に勤めている企業内診断士と経験豊富な独立診断士が合わせて50名ほどおり、色々な角度から現状を把握し提案できることで中小企業の皆さまのお役に立てていると改めて感じられました。

-これからについて、課題に感じていることを教えてください

一つ目は生成系AIの活用ですね。
ChatGPTをはじめ、これまで専門家に聞かないと分からなかった知識が簡単に手に入るようになりました。このような時代感の中で、私たちはお客様の真のニ-ズに対してどのように向き合っていけるかを真剣に考えるべきだと思います。今後、与えられた問題に対して答えを出すことはAIに代替されていきますが、顕在化していない課題を様々な角度から発見することは人間である私たちにしかできないことだと考えます。
マ-ケティング業界はほとんどの情報がデジタル化されているため、AI化がとても早い領域です。一方で製造業や小売業などリアルな業界は最もAI化が遅いと言われていますが、それに甘んじるのではなく先手を打っていくこと、業務の中でどのように取り入れると良いか?を念頭に入れて活動していきたいと考えています。

二つ目に新たな時代にあったサ-ビスメニュ-の整備です。
この3年ほどでメディアに対する消費者の感覚に変化を感じます。短時間の動画に代表されるような多角的な情報をより瞬時に手に入れることに慣れてきており、待ちではなく攻めの発信が必要になるのではないかと思っています。お客様が知りたいことを把握して、企業の強みやブランドをすぐ分かる形にしていくことが大事な仕事の1つになると考えています。今までの活動を統合して、クイック診断から企業の強みの炙り出し、ブランディング策定、インタ-ネットを通じた情報発信に至るまで、中小企業のマ-ケティングを支援するサ-ビスメニュ-体系を整備していきたいと考えています。

三つ目に異業種ネットワ-クの拡大です。
中小企業診断士は、ある特定の業種の中小企業のことだけが分かっていればそれでいいというわけではありません。他業種のビジネスモデル活用や、顧客である大企業の購買側からの視点など、多角的な視点を持つことが大切だと考えています。

神奈川県診断士協会の中で色々な勉強会をしているグル-プとの連携や支援団体との連携、企業内診断士のネットワ-クによる企業の方との連携も含めて異業種のネットワ-クを構築、拡大していくことが、ワンストップでご相談に対応するために極めて重要だと考えています。

最後に

-Masaさんの趣味を教えてください!

運動不足なのでゴルフをやっています!ぜひ一緒にやりましょう!
また、仲間でワイワイガヤガヤ飲むのも大好きなので、海辺でBBQを企画しています。

-この記事をご覧の中小企業診断士に一言お願いします。

マーケティング実践研究会ではマーケティングを学ぶだけではなく、実践の場として多くの仲間が日々研鑽しています。少しでも興味があれば一度気軽に遊びに来てください!