各アプローチ方法の特徴を押さえることがポイント
新規顧客へのアプローチには、下記図表に示すように多くの方法がありますが、そもそも、信頼関係が出来ていない顧客へのアプローチになりますので、自社の製品・サービスの特長やターゲットとする顧客が属する業界に合わせて、アプローチ方法を決める必要があります。
今回は、各アプローチ方法の特徴、活用のポイントを説明します。
図表.潜在顧客へのアプローチ方法
テレアポ(電話営業)
ずいぶん前から、「テレアポは時代遅れだ」と言われています。しかし、令和になった今でもテレアポは行われていますし、直近では、新型コロナウイルスの影響で、不要不急の訪問ができなくなったため、大企業においても、直接訪問に代わるアプローチ手段として見直されています。
しかし、テレアポには得意なこと、苦手なことがあるため、これらを明確にして、ターゲット・目的によって、他のアプローチ手段と組み合わせるなどの工夫が必要です。
テレアポの最大の強みは、コストが安いことです。従って、「新規事業のために、営業コストをできる限り抑えたい」「限られている人手で営業をしなくてはいけない」このような悩みを抱えている事業者には、テレアポがお奨めです。
一方で、テレアポの致命的な弱みは、1回の電話で営業できる時間が短いことです。長くても3分程度、短ければ5秒(即切り)、平均して30秒ほどの時間しか貰えません。そのためテレアポでは、詳しい商品説明をすることは難しいでしょう。そもそも当社の商品・サービスに対して興味がない潜在顧客に対して、セールストークを続けると、お客様を怒らせてしまいますので、注意が必要です。
図表.テレアポのメリット・デメリット
Webサイト活用
Web広告や検索エンジンを通じ、また、FacebookやLINEなどのソーシャルメディアを活用して、自社のWebサイトに誘導することで、問い合わせや資料請求、セミナーなどに集客していく方法です。ターゲットにあったコンテンツを発信することで、自社の商品やサービスに興味のある見込客をプルできるのがメリットです。Webコンテンツが、24時間・365日、働いてくれるので、うまくいけば、営業コストを掛けずに、見込客獲得のチャンスがあります。
しかし、Webサイトを通じて、安定した集客を実現するためには、少なくとも1年以上の長い期間をかけて、コンスタントにコンテンツを登録していくことが必要ですので、他の方法に比べて、営業成果が出るまでに時間がかかることを覚悟しないといけません。
また、コンテンツの作成にあたっては、ターゲット(ペルソナ)をしっかりと設定して、ターゲットの興味に合うコンテンツを配信すること、最終的に、サイトへの来訪者をどういった行動に結び付けるのか、「出口」をしっかりと考えて、設計する必要があります。
図表.Webサイト活用のメリット・デメリット
展示会、商談会への参加
展示会、商談会は、当該分野の商品、サービスを探している幅広いお客様との出会いの場であり、お客様と直接話ができる格好の場です。上手な説明ができていれば、その後、お客様に、ある程度商品の知識を持って頂いた状態で、次の個別商談へと進めることができます。
一方で、集客が上手くできていないと、費用対効果の悪い営業活動となります。また本来自社が獲得したいターゲットとは異なる顧客が参加する可能性もあるため、事前に「出展の目的」、「ターゲット顧客」、「展示する商品・サービス」などのコンセプトを明確にして、それに合ったテーマの展示会、商談会を選ぶ必要があります。
また、目的が曖昧にならないように、ブースへの来場者数、名刺獲得数、アポイントメントの獲得数など具体的な数値目標を立てて行動しましょう。具体的な目標数値があるか否かで、当日の説明員の動きも違ってくる筈です。
図表.展示会、商談会への参加のメリット・デメリット
紹介営業
紹介営業とは、既存顧客、仕入れ先などの法人や、金融機関から、新規顧客の候補を紹介してもらう営業手法です。自身で最初から営業活動をする場合は、顧客との信頼関係がまったく構築されていない状態でのスタートとなりますが、「紹介」であればある程度の関係性ができた状態から営業活動をすることが可能になり、顧客の情報把握が容易になります。
法人営業において、顧客を紹介してもらう方法は、ある意味最強の新規開拓方法といえるでしょう。顧客獲得のためのコストはかかりませんし、既存取引先からの紹介の場合、紹介先に最初から信頼してもらうことが可能です。
しかし、紹介元にも面子があるため、「紹介してもらうまでに時間がかかる」、「いつ何件紹介してもらえるか、自分ではコントロールできない」などのデメリットもあるため、他の新規開拓の方法と併用する必要があります。
図表.紹介営業のメリット・デメリット
コロナ時代に合ったアプローチ方法は?
今、新型コロナウイルスの影響で、「テレアポでゴールが対面商談でなくなり、資料送付などに留まってしまう」、「展示会の開催数が減る」、「紹介営業についても、不要不急のアポイントメントが取りにくなる」など、従来のアプローチ方法が使いにくくなっています。
そこで、既存顧客のフォロー重視の営業活動に陥りがちですが、新規顧客へのアプローチ方法を工夫して、ライバル企業に差をつけましょう。下記に従来手法に、工夫を加えた新規顧客開拓の例を上げます。
- テレアポでは、すべてのコンタクト先にアポを求めるのでなく、「キーマンは誰か」、「キーマンは、自社が提案する分野に関心があるか」、「導入検討時期はいつか」などの情報収集を行い、見込客を絞り込んで、次の営業活動に繋げる準備にする。
- 見込客に対しては、メルマガの配信、自社Webサイトへの案内を通じて、継続的な関係創りを進める。
- ある程度の関係創りができた段階で、対面営業を申し入れる。もしも、対面営業を断られた場合は、ビデオ会議を活用したオンライン商談を提案する。
今だからこそ、新規顧客へのアプローチ方法を工夫して、ライバル企業に差をつけましょう。