公開オンライン講座「不確実な時代を乗り切り、次の世代にバトンをわたす」の開催報告(2/2)

前回の基調講演の報告に続き、今回は、小倉仁志会員による「今こそ見直そう。営業の強化は『3つの見える化』から」の講演内容を紹介いたします。

「今こそ見直そう。営業の強化は『3つの見える化』から」
(小倉仁志会員)

中小企業や小規模企業では、社長一人、または、カリスマ社員に頼って、営業活動を行なっていることが多いようです。これを、人に頼る営業という意味で、「属人的な営業」と言います。社長やカリスマ社員が引退したら、会社はどうなるのでしょうか?とたんに、売上が急減してしまい、会社の経営に深刻な影響を及ぼしてしまいます。

そこで、個人任せ・個人頼みの営業から脱却する方法を考えてみましょう。それは、一人ひとりが自ら考えて行動できる、困っている時には互いを助け合うチーム創りです。そして、自分・全員でPDCAをしっかり回せる仕組み創りです。

1. 顧客の見える化

顧客との関係づくりに取り組もうとしても、顧客の情報が社内で共有化されていないために、スムーズに進まないケースがよくあります。そこで、主要顧客の全体像がつかむために、売上高や粗利額などの指標を決めて、それをグラフ化して「見える化」することが有効です。

ここで大事なのは、A社、B社など主要顧客ごとの売上高などの指標をグラフ化するだけなく、「増減の理由をはっきりさせる」ことです。仮説でも良いので、理由を探ったうえで、社内の関係者と一緒に仮説の妥当性について議論しましょう。

このような議論を行うことで、社員全員で、課題を見つける場が築かれますし、全員で解決策を考えて、次のアクションに結び付けることが習慣化できるようになります。

2. 強みの見える化

売上を上げる手段のひとつが顧客開拓です。そのためには、「自社の強み」を明確にして、顧客の興味を引く言葉で訴求する必要があります。また、自社の強みを訴求するためには、チラシ、カタログ、ホームページなどの営業ツールが欠かせません。展示会や商談会を前にして、これらの営業ツールがないというお話もよく耳にします。是非、自社の強みを見える化した上で、その内容を顧客開拓に使える営業ツールに展開してみてください。

ここで大事なのは、自社の強み(想い)を「顧客視点」で読み替える(再定義する)ことです。知り合いのA畳店の例に考えてみる次のとおりとなります。A畳店のこだわりは、「自分自身で営業し、自分自身で畳を作っている」ことですが、顧客視点では、「確かな品質」ということになります。また、「材料には国産イグサを選んで使っている」というA畳店の付加価値は、「国産という安心感」という顧客価値に読み替えることができるし、「自分で営業できる範囲にとどめている」というA畳店の状況は、「地元から40年以上にわたり支持されている」という信頼感に読み替えることができます。

3. プロセスの見える化

中小企業にありがちな「属人的な営業」から脱するためには、営業担当者の個の力に頼るのでなく、営業全員、あるいは工場の技術者などとも連携して全社一丸となって組織営業に取り組みことが不可欠です。そのためには、誰が、どのタイミングで、何処へ、どのように行動するのか、「プロセスの見える化(可視化)」が大切です。そうすることで、ごく普通の営業担当者が一定レベルの営業成績を達成することができます。

「プロセスの見える化」は、“ステップ1:営業活動のステップを決める”⇒“ステップ2:必要情報や検討項目を決める”⇒“ステップ3:チーム営業に必要な見える化を整備する”の順番で進めます。“ステップ1:営業活動のステップを決める”では、営業活動のステップを決めた上で、それぞれのステップで、営業担当者が行なうべき営業活動の内容を、これまでの成功パターンを基に、整理して設計していきます。

上図の例では、横軸に、「開拓」「引き合い」「見積り」「商談」「受注」「アフターフォロー」という営業活動のステップを並べ、縦軸に各ステップにおける営業活動・行動の指標を並べた図を作成しています。これは、いわば、営業の仕組みづくりの設計図です。

“ステップ2:必要情報や検討項目を決める”では、営業プロセスを進めるために必要な情報や検討項目を決めます。例えば、引き合いの段階では、「顧客の悩み事」や「悩み事の経営への影響」について情報収集します。次の見積りの段階では、「顧客は単品での貢献、総合的な貢献いずれを欲しているのか」、「経営への数値的な貢献度」などを検討します。さらに商談段階では、「競合の有無、自社の優位性」、「キーマンの意見」など幅広く情報を集めて、受注に至るハードルを下げます。さらに、受注段階では、「購入後のサポート体制」など受注後の顧客との関係を描いておきます。

“ステップ3:チーム営業に必要な見える化を整備する”では、顧客情報(ビジネス概要、経営課題、製品ラインナップ、組織情報など)の見える化度合を評価して、各顧客に対する次のアクションを決めます。また、営業プロセスの段階ごとに営業担当者の得手・不得手を見える化したスキル表を作成することにより、組織として営業担当者をフォローする体制を整えます。このようにして、チームプレーで、売上拡大を達成していくサイクルを築いていきます。

「顧客の見える化」「強みの見える化」「プロセスの見える化」から成る「3つの見える化」で、チーム営業を醸成、強化し、事業承継を成功させましょう!

公開オンライン講座「不確実な時代を乗り切り、次の世代にバトンをわたす」の開催報告(1/2)

2020年9月26日に、武井一喜氏を基調講演講師としてお招きして、「マーケティング実践研究会」公開オンライン講座を開催しました。お陰様で約40名の方にご参加いただき、無事、終了いたしました。

武井一喜氏は、ファミリービジネス(同族経営)を専門に扱うコンサルタントであり、一般社団法人日本ファミリービジネスアドバイザー協会理事を務められています。自らのファミリービジネス経営者としての体験を踏まえ、数多くのファミリービジネスの事業承継、後継者育成をサポートしておられます。

今回は、武井一喜氏の基調講演に加えて、研究会会員4名より、中小企業の営業力強化に必要な『3つの見える化』、『Afterコロナ時代の営業変革』と『後継者育成』の具体策、『不確実な時代を乗り切るための留意点』についての講演を行いました。

 基調講演「事例で語る~伝統を次の世代につなぐには?」

中小企業では、同族経営が珍しくありませんが、一般に「同族経営」はあまり良いイメージがありません。しかし、世界的には、同族経営においても、長期的な視野の経営戦略を採用して、一般企業を上回る好業績をあげている例が多々あります。しかし一方では、三代目まで会社が続けられる確率が低い(全体の約15%)のも事実です。それでは、ファミリービジネス(同族経営)の繁栄と永続のための成功法則は何なのでしょうか?

1. ファミリービジネスの三円(3サークル)モデル

ファミリービジネスの構造を理解するための概念として、「三円(3サークル)モデル」があります。これは、株主か否か(オーナーシップ)、オーナー家のメンバーか否か(ファミリー)、その会社に属しているか否か(ビジネス)、関係者がどの立ち位置にあるかを分類するものです。

三円モデルが意味するのは、それぞれの立ち位置でニーズや利害が異なるということです。その中で、最も複雑な立ち位置は、三つの円が重なるところです。オーナー社長はここに位置するわけですが、「ビジネス」、「オーナーシップ」、「ファミリー」の三つの異なるニーズを調整する立場です。例えば、配当に関して、「オーナーシップ」に位置する親族は、多くの配当を得たいと考えますが、「ビジネス」に位置する非親族の社員や役員は、配当をできるだけ抑え、将来のための投資や昇給の原資にして欲しいと願います。

オーナー経営者はビジネスのリーダーであり、家長でもあり、たいていは株主でもあるため3つの円の中心に位置します。そこで、自らがその中に身を置きながら、関係者間の調整を行う複雑な立場にあります。このことがファミリービジネス特有の問題を引き起こす原因になることが多々あります。

2. ビジネスとファミリーの境界線のマネジメントが重要

ビジネスの場は成果や効率を追及する場であり、ファミリーの場は愛情と感情が支配する場です。この相容れないニーズや価値観が混在するのがファミリービジネスの特徴です。感情が支配する場も受け入れないことには、ファミリービジネスは上手く行きません。

ビジネスとファミリーの重なりは、強みにも弱みにもなる可能性があります。ファミリーとしての使命や結束は、事業承継を進める上での求心力になり得ます。逆に、オーナー社長が、後継者となる息子やその兄弟を手足のごとく使ってしまう事例もあり、そうなると後継者の自立を妨げて、事業承継が難しくなるリスクがあります。そこで、後継者や親族の社員に接する際に「ファミリーとビジネスの境界線をはっきりさせる」ことが大切です。簡単に言えば「一度に、ファミリーとビジネスの二つの帽子を被らない」ことです。

3. ファミリービジネスにおける伝統継承のためには

ある時、代々、同族経営を行ってきた企業の経営者から「会社の規模拡大とともに、就業する親族の数も増えて、このまま同族経営の求心力が保てるか心配」という相談を受けました。その事例を基に、ファミリービジネスにおける伝統継承のポイントを考えてみます。

この企業では、これまで経営の基となる家訓、家憲について、日常会話の中で、言い伝えとして伝承してきました。しかし、経営に関わる親族の数が増えるに従って、経営者と個々の親族との間のコミュニケーションの機会を十分に確保することが難しくなり、経営の求心力を保つのが難しくなってきたということです。

そこで、助言した内容が、「家訓・ファミリー憲章を明文化した上で、親族間で話合う場、決める場を儀式として設定すること」でした。具体的には、一般の会社の株主総会にあたる「ファミリー総会」、取締役会にあたる「ファミリー評議会」、次世代の人材育成のための「ファミリーアカデミー」などを設けてもらいました。これにより、後継者や個々の親族の自立を促すとともに、一つの価値観を共有する“Weの場”作りに成功しました。

なお、このような取り組みを進める上では、オーナーファミリーが心から信頼を寄せるアドバイザーのサポートが必要になります。支援するアドバイザーは、ファミリーの一人ひとりがどのように関係しているか理解した上で、当事者同士では解決が難しいトラブルを仲介してあげることが大切です。

聴講者からの質問、講師からの回答

Q1: ファミリーとビジネスの境界線をはっきりするための具体的な取組み方法は?

A1: 其々のカードを作って、話す時に立場を提示させる、呼び方を区別させる(例:伯父さんと専務とか)などの方法がある。

Q2:ジェノグラムを冷静に受け止めてもらうには?

A2:開示する際に気持ちの準備が出来ているか見極める、1人1人に関係線を引かせて、集約する、個人攻撃を排する。

Q3:支援先のファミリーの強みを見つける方法は?

A3:一見悪いように見えるファミリーの風土・文化が、実は強みだったりする。コンサルタントの先入観や偏見を捨てて、謙虚に見つめること。

Q4:「ファミリー総会」などを設けることで、ファミリー以外の社員との壁が出来てしまわないか?

A4:「ファミリー総会」の存在をノンファミリーにも丁寧に説明し、ファミリーの意思決定事項を公表することで弊害を防げる。

聴講者による気づき

同族経営というと、プラスよりも、マイナスのイメージが強かったのですが、今回の講演によって、同族経営の構造を理解した上で、ファミリーとビジネスとの境界線をはっきりさせることで、プラス面を引き出せることが分かり、新鮮でした。

また、海外では、ファミリービジネスを専門に扱うコンサルタントがいることも知り、その活動内容を詳しく知りたいと感じました。本日の講演内容は、我々中小企業診断士が、事業承継や後継者育成を支援していく上で、大変、参考になりました。今後の活動において、同族経営であるクライアントの強みを、最大限に引き出していきたいですね。

Withコロナ時代の「商談で役立つ質問の仕方」

製品やサービスの種類・用途・価格などの違いで商談の進め方は多種多様ですが、商談には共通の基本があります。営業活動をできるだけ効率化し、かつ顧客満足を実現しながら売上を伸ばしていくためには、ぜひ商談の基本を身に着けてください。 

 1.SPIN(スピン)の概要 

SPIN(スピン)とは、顧客を中心に考えて商談を進めていくための「4タイプの質問」のことです。説得・説明型の商談とは異なり、顧客に適当なタイミングで、適切な質問をすることで、顧客の発言を引出し、その内容に傾聴することに重点をおきます。顧客満足を目指しながら商談成立を実現するためのコミュニケーションの基本です。 

SPIN話法とは?相手の潜在ニーズを引き出す質問のフレームワークを徹底解説 | マケフリ

(1)状況確認質問(S:Situation Questions) 

顧客の「現在の状況」について、事実を確認するための質問です。営業担当者にとって、確認したい事項を質問することも重要ですが、顧客にとって「意味を感じられない質問」になる可能性があります。商談成立に悪影響を及ぼす質問にもなるリスクすらあります。多くの営業担当者は、この種の質問を行い過ぎますが、事前に質問内容を精査することで、不必要な質問を省くことができます。 

【状況確認質問の仕方】 

  1. 「今お使いの車にはカーナビが装備されていますか」 
  1. 「現在お使いの生産管理ソフトは、どのパソコンとプリンターと接続していますか」 

(2)課題洗出し質問(P:Problem Questions) 

顧客が現在直面している課題、困難または不満について質問します。状況確認質問よりも顧客にとっては意味のある質問です。商談の経験を積んだ営業担当者は、状況確認質問よりも課題洗出し質問を多く用います。このためには、「自社の製品やサービスが顧客の課題を解決できるかどうか」の観点で質問内容を考えることが重要です。逆に、製品の持っている特徴や性能が「顧客にとって良いか悪いか」の観点で質問内容を考えてはいけません。 

【課題洗出し質問の仕方】 

  1. 「今お使いのカーナビで、不便を感じたことはありますか」 
  1. 「現在お使いの生産管理ソフトに、どの程度満足していますか」 

(3)気付き促発質問(I:Implied Questions) 

顧客にとって、特に有意義な質問です。現在の課題から、今後発生する可能性のある悪影響を、顧客自ら気付き再認識することを促します。この種の質問を的確にすることは非常に難しいですが、優秀な営業担当者は、多くの気付き促発質問を行います。 

【気付き促発質問の仕方】 

  1. 「現在ご使用のカーナビのためどのような危険にあったり、どれくらい到着時間がおくれたりしましたか」 
  1. 「現在の生産管理ソフトで、どれくらいの納期遅れを削減することができましたか」

(4)解決応用質問(N:Need-payoff Questions) 

自社が提案する課題解決の方法が、「顧客にとってどのような価値または有用性があるのか」を質問します。この質問を通して自社が提案する課題解決策が顧客にどのようなメリットをもたらすのかを、顧客自身の言葉で発してもらいます。質問内容に対して、顧客の回答がポジティブなものであれば、顧客の購買意思決定を後押しできるでしょう。 

【解決応用質問の仕方】 

  1. 「私共のカーナビは、お客様にとって他にどのような使い方ができるでしょうか」 
  1. 「私共のソフトを導入した場合、平均工期を更にどれくらい短縮できるでしょうか」 

2.SPIN(スピン)を使うときの注意事項 

「課題洗出し質問」を行う場合は、商談において第三者から課題を指摘されることを嫌う顧客も少なくないことに注意を払う必要があります。また、顧客が第三者に課題を上手に伝えることを嫌う場合もあります。営業担当者は真摯な態度で、顧客の課題を引出し、共有・共感することが重要です。

そこで、「課題洗出し質問」を「気付き促発質問」と併用して顧客とコミュニケーションをとることが有効です。気付き促発質問は、4タイプの質問の中で一番重要です。質問する時の原則は「非誘導」です。顧客が自ら語った言葉をできるだけ多く引用して、質問を組み立てていくことが大切です。

また、「解決応用質問」を行う際の原則は「非提言」「非誘導」「非評価」です。顧客とのコミュニケーションを通して、自社の製品やサービスの価値を顧客自身の言葉で確認します。時には耳の痛いコメントを頂くこともありますが、真摯な態度で傾聴します。 

 3.Web商談の心得(まとめにかえて) 

Web商談には、①外回り営業に係るコストの削減、②営業活動の効率化、③受注機会の拡大といったメリットがあります。Web商談をスムーズに行うためには、先ず事前の準備が大切です。通信環境やカメラ映え等を確認しておきましょう。

また、お客様に開催案内を出すとともに、参加者情報を調べておきましょう。そして5分間にはスタンバイしてください。実際の商談では、伝えるためのポイントは、次の3つです。
 ①ゆっくり(話す)
 ②(一文は)短く
 ③(身振りは)大きくする

ただし、最も肝心なことはマナーです。次の4点には特に注意してください。
 ①一方的に話すことは慎しむ
 ②適宜、質問を挟むことを忘れない
 ③同時に発言すると聞き取れなくなりますので、被せるない
 ④自分が話さないときは、必ず音声をミュートにする。 

これらに注意して、Web商談の実践を通じて腕を磨いて行きましょう。

With コロナ時代の「お客様との信頼関係構築」

営業の中には、売ったら売りっぱなしで、その後のフォローやサポートが疎かな場合もあるようです。しかし、既存顧客は貴社の製品やサービスをよく理解しているため、既存顧客との信頼関係の構築は、その後の売上拡大につながり易いメリットがあります。

貴社の売上を安定的に伸ばすには、既存顧客へのフォローやサポートをしっかり行い、リピートオーダーにつなげる努力が必要です。

マーケティング法則のなかに「1:5の法則」があります。これは既存顧客を守るコストに対し、新規顧客を獲得するコストの方が5倍掛かることを示しています。

既存顧客からリピートオーダーを受注し続けることができれば、効率的な営業活動を進められるという訳です。 既存顧客を大切にすることが、Withコロナにふさわしい営業活動です。

1.電話やWebなど非対面営業でも対応できる

  対面営業では築き易かった信頼関係が、電話やWebのみの非対面営業では出来にくいと言えますが、どこの会社も状況は同じです。そこで非対面営業ならではの課題に配慮しながら活動し、数少ない対面営業の機会を切り札として活用すれば、従来通りの関係が維持できます。

(1)Web商談

①対人スキルは一旦忘れる

 「いつもより自分の表情やリアクションをオーバーにしてみる」、「自分の声のトーンを少し高めに変えてみる」といったことを試してみましょう。それだけで相手に明るい印象が伝わります。また、要点を整理しながら話すスキルも大切になります。相手の理解度を小まめに確認しながら、相手に積極的に発言してもらいやすい環境を作ってください。

②見やすく分かりやすい資料作り

 画面越しでも見やすい文字サイズで作ることが重要です。細かい文字でぎっしり書かれた資料を提示されても、短い時間では読み切れません。資料は簡潔かつ明快な内容で作成し、事前に目を通して欲しいものなのか、会議の時に使う参照資料なのかを明確にしましょう。

(2)Web展示会

①Webサイトとの違いを工夫する

Web展示会は、コミュニケーションがインターネット越しになってしまうため、イベントとしての臨場感がどうしても弱くなります。Web展示会をベースにしつつ、部分的に対面でのイベントも追加開催したり、お客様が、都合のよい日時を予約して、営業担当者の説明を直接受けられるオンラインブースを用意したりといった工夫が大事です。

②PULL型の営業に徹し、集客データを分析する

 Web展示会では、どうしても相手の関心が向くのを待つ「PULL型」の営業スタイルになるデメリットがあります。反面、場所・期日・時間の制約がなくなることによって、集客の幅を大きく広げることができるメリットがあります。参加申し込みから来場・離脱まで、参加者の行動履歴を、MAツールなどで取得し、参加者のニーズや、興味の度合いを分析することが可能になります。このデータによって、どんな層の来場者が、何に関心を持っているのかを高い精度で分析でき、今後のマーケティングに有用な示唆が得られるでしょう

2.提案を怠らない

 お客様に満足・感動を与える提案のためには、競合他社との差別化が大切です。それには知識や情報の収集・整理が必要になります。知識には、業界や自社の歴史や業務に関するものと、自社製品やライバル製品に関するものなどがあります。また情報には、市場やお客様及びその先の最終顧客に関するものと、自社の戦略やライバルの戦略に関するものなどがあります。

表1.提案で成否を分けるポイント

失敗する営業マンの言動・専門的な情報、知識がない
・提案に工夫がない
・いつも同じ話ばかりをする
・世間話を避けたがる
・他人行儀 である、または、逆に慣れ慣れしい
成功させる営業マンの心得・販売技術、業界情報、商品知識をレベルアップする
・(お客様のことを)自分ごとのように熱中する
・相手の懐にとびこむ

3.フォローにこそ時間を掛ける

 お客様から注文を頂いてからは先ず事務処理を迅速にすることが大切です。また、納期違反は契約違反であり、お客様に多大な迷惑を掛けることにより信用失墜の最大の原因になりますので営業マンとしても目配り・気配りを怠らないようにして下さい。更にアフターフォローでは、お客様からのクレームから逃げずに、「クレームは言ってくれるうちが花、言われなくなったら見限られた証拠」と思って正面から受け止めて下さい。見返りを期待しないサービスこそ、本当のサービスと心得、信頼関係の継続に努めて下さい。      

表2.アフターフォローで成否を分ける

失敗する営業マンの言動・放ったらかしにする
・変化に無頓着
・新情報、新提案がない
・他部門まかせ(責任転嫁)
・暇つぶしだけに来る
・成長が見えない
成功させる営業マンの心得・お客様への関心を持続させる
・プラスαのサービスを心掛ける
・成長し続ける、新しい自分を見せる

まとめ

商談を進める上で良好な人間関係は必要ですが、お客様が最も重要と考える項目は「わが社の課題を解決してくれること」であることを忘れてはなりません。今や営業には、お客様の課題を見つけた上で、最終的にお客様の事業拡大に結びつくことを目標に、製品やサービスを提案するスキルが求められます。Withコロナの営業活動には、「顧客の課題を発見し解決に導く」という意識が欠かせません。

また、Withコロナでは対面しない仕事の進め方が重要ですが、対面営業をすべて無くせる訳ではありません。対面が必須の業務と、非対面でもできる業務に営業活動を区別し、実践していくことが大事です。

Withコロナ時代の「自社に合った新規顧客 開拓方法の選び方(2/2)」

各アプローチ方法の特徴を押さえることがポイント

新規顧客へのアプローチには、下記図表に示すように多くの方法がありますが、そもそも、信頼関係が出来ていない顧客へのアプローチになりますので、自社の製品・サービスの特長やターゲットとする顧客が属する業界に合わせて、アプローチ方法を決める必要があります。
今回は、各アプローチ方法の特徴、活用のポイントを説明します。

図表.潜在顧客へのアプローチ方法

テレアポ(電話営業)

ずいぶん前から、「テレアポは時代遅れだ」と言われています。しかし、令和になった今でもテレアポは行われていますし、直近では、新型コロナウイルスの影響で、不要不急の訪問ができなくなったため、大企業においても、直接訪問に代わるアプローチ手段として見直されています。

しかし、テレアポには得意なこと、苦手なことがあるため、これらを明確にして、ターゲット・目的によって、他のアプローチ手段と組み合わせるなどの工夫が必要です。

テレアポの最大の強みは、コストが安いことです。従って、「新規事業のために、営業コストをできる限り抑えたい」「限られている人手で営業をしなくてはいけない」このような悩みを抱えている事業者には、テレアポがお奨めです。

一方で、テレアポの致命的な弱みは、1回の電話で営業できる時間が短いことです。長くても3分程度、短ければ5秒(即切り)、平均して30秒ほどの時間しか貰えません。そのためテレアポでは、詳しい商品説明をすることは難しいでしょう。そもそも当社の商品・サービスに対して興味がない潜在顧客に対して、セールストークを続けると、お客様を怒らせてしまいますので、注意が必要です。

図表.テレアポのメリット・デメリット

Webサイト活用

Web広告や検索エンジンを通じ、また、FacebookやLINEなどのソーシャルメディアを活用して、自社のWebサイトに誘導することで、問い合わせや資料請求、セミナーなどに集客していく方法です。ターゲットにあったコンテンツを発信することで、自社の商品やサービスに興味のある見込客をプルできるのがメリットです。Webコンテンツが、24時間・365日、働いてくれるので、うまくいけば、営業コストを掛けずに、見込客獲得のチャンスがあります。

しかし、Webサイトを通じて、安定した集客を実現するためには、少なくとも1年以上の長い期間をかけて、コンスタントにコンテンツを登録していくことが必要ですので、他の方法に比べて、営業成果が出るまでに時間がかかることを覚悟しないといけません。

また、コンテンツの作成にあたっては、ターゲット(ペルソナ)をしっかりと設定して、ターゲットの興味に合うコンテンツを配信すること、最終的に、サイトへの来訪者をどういった行動に結び付けるのか、「出口」をしっかりと考えて、設計する必要があります。

図表.Webサイト活用のメリット・デメリット

展示会、商談会への参加

展示会、商談会は、当該分野の商品、サービスを探している幅広いお客様との出会いの場であり、お客様と直接話ができる格好の場です。上手な説明ができていれば、その後、お客様に、ある程度商品の知識を持って頂いた状態で、次の個別商談へと進めることができます。

一方で、集客が上手くできていないと、費用対効果の悪い営業活動となります。また本来自社が獲得したいターゲットとは異なる顧客が参加する可能性もあるため、事前に「出展の目的」、「ターゲット顧客」、「展示する商品・サービス」などのコンセプトを明確にして、それに合ったテーマの展示会、商談会を選ぶ必要があります。

また、目的が曖昧にならないように、ブースへの来場者数、名刺獲得数、アポイントメントの獲得数など具体的な数値目標を立てて行動しましょう。具体的な目標数値があるか否かで、当日の説明員の動きも違ってくる筈です。

図表.展示会、商談会への参加のメリット・デメリット

紹介営業

紹介営業とは、既存顧客、仕入れ先などの法人や、金融機関から、新規顧客の候補を紹介してもらう営業手法です。自身で最初から営業活動をする場合は、顧客との信頼関係がまったく構築されていない状態でのスタートとなりますが、「紹介」であればある程度の関係性ができた状態から営業活動をすることが可能になり、顧客の情報把握が容易になります。

法人営業において、顧客を紹介してもらう方法は、ある意味最強の新規開拓方法といえるでしょう。顧客獲得のためのコストはかかりませんし、既存取引先からの紹介の場合、紹介先に最初から信頼してもらうことが可能です。

しかし、紹介元にも面子があるため、「紹介してもらうまでに時間がかかる」、「いつ何件紹介してもらえるか、自分ではコントロールできない」などのデメリットもあるため、他の新規開拓の方法と併用する必要があります。

図表.紹介営業のメリット・デメリット

コロナ時代に合ったアプローチ方法は?

今、新型コロナウイルスの影響で、「テレアポでゴールが対面商談でなくなり、資料送付などに留まってしまう」、「展示会の開催数が減る」、「紹介営業についても、不要不急のアポイントメントが取りにくなる」など、従来のアプローチ方法が使いにくくなっています。

そこで、既存顧客のフォロー重視の営業活動に陥りがちですが、新規顧客へのアプローチ方法を工夫して、ライバル企業に差をつけましょう。下記に従来手法に、工夫を加えた新規顧客開拓の例を上げます。

  • テレアポでは、すべてのコンタクト先にアポを求めるのでなく、「キーマンは誰か」、「キーマンは、自社が提案する分野に関心があるか」、「導入検討時期はいつか」などの情報収集を行い、見込客を絞り込んで、次の営業活動に繋げる準備にする。
  • 見込客に対しては、メルマガの配信、自社Webサイトへの案内を通じて、継続的な関係創りを進める。
  • ある程度の関係創りができた段階で、対面営業を申し入れる。もしも、対面営業を断られた場合は、ビデオ会議を活用したオンライン商談を提案する。

今だからこそ、新規顧客へのアプローチ方法を工夫して、ライバル企業に差をつけましょう。