2025-3-22 定例会報告

3月22日の定例会では、デザイン思考講座の第7回目、今期の最終回として、各チームから成果報告を実施しました。

1.実施概要

開催日時

2025年 3月22日(土) 14:00-17:00

実施方法

神奈川中小企業センタービル第一会議室(関内)

2. 各チームの活動

ブランドチーム

 ブランドチームでは、株式会社和えるの企業向け研修プログラムの新展開について検討を進めました。従来は行政機関が中心だった研修を企業にも広げるため、企業ニーズと株式会社和えるの強みを融合した「管理職の1on1スキルアップ研修」と「若手のキャリア研修」の2つのコンセプトを開発しました。今後、専門家および一般関係者からフィードバックを得て改善し、4月12日に株式会社和えるへ最終報告する予定です。

 また来年度は、横浜システム工学院専門学校に対し、市場調査・コンセプト設計・プロトタイプ作成・実地支援を行う計画です。

新事業開発チーム(Aホテル)

本チームの今月の定例会は、ランダム化比較試験の結果を踏まえてリアルで提案骨子を実証実験する提案骨子を議論しました。

4月の提案報告会に向けて、報告資料作成等の準備を行いました。

情報発信チーム(社会課題解決型新事業『1piece for 2PEACE』)

物流企画会社S社の新規事業として、障がい者就労支援施設で製造されたクッキーを企業内で販売し、その売上の一部を生活困窮者支援に寄付する取り組みを支援中です。

3月度の例会では、これまでの支援活動の報告を行いました。

S社が展開する「1piece for 2PEACE.」プロジェクトは、障がい者の工賃向上と生活困窮世帯の支援という二つの社会課題にアプローチする、画期的な社会貢献型ビジネスです。このプロジェクトでは、障がい者就労支援施設で作られた焼菓子を一つ購入すると、同じ焼菓子が地元のフードパントリーを通じて生活困窮世帯に届けられる仕組みを導入。購入金額の約25%が寄付に回り、4個購入すれば1個分が寄付となるという、寄付の「見える化」を実現しています。価格も250円からと参加のハードルが低く、クッキーを「買う・食べる」だけでなく、「障がい者イベントに参加する」「フードパントリーを手伝う」といった体験型の社会貢献ができるのも特徴です。

この取り組みを支える情報発信チームは、活動開始当初、ビジネスモデルやターゲットが未定の状態からスタートしました。まずはミッションやビジョンを策定し、顧客を「事業所内従業員」と定義。次にデザイン思考に基づくインタビューを実施し、商品購入に至る背景や共感ポイントを探りました。その結果、ストーリーの重要性と事前告知の必要性が浮き彫りになり、動画によるストーリー訴求を企画。港区の補助金申請支援も行い、デジタルツールを活用したプロモーション基盤の整備にも取り組んでいます。

実際の販売会では、S病院にて473個を販売し、目標の118%を達成。購入者アンケートでは多くの方が「支援内容を理解して購入した」と回答し、コンセプトがしっかりと伝わっていることが確認できました。今後はコンセプトテストを経て、訴求内容のさらなるブラッシュアップを図り、SNSやYouTube、ホームページなどデジタル媒体を駆使した情報発信を強化していく予定です。

「ワンコインでおつりのくる、一番手前のSDGs」を掲げるこのプロジェクトは、社会貢献の第一歩として、多くの人に小さな行動から始める支援の輪を広げています。あなたも一枚のクッキーから、ふたつの幸せを届ける一員になってみませんか。

今後の予定として、上記の統制群および処置群を用いて、ランダム化比較試験(RCT)を実施し、どの訴求が最も購買意欲を高めるかを検証します。これにより、より効果的な販促メッセージの最適化と、持続可能な社会貢献モデルの構築を目指します。

売上拡大チーム(未来の社会を見据えた新たなモビリティ事業企画)

 本業が看板製作で、太陽光発電による常夜灯を作成している関係先企業S社では、小型EV車(NINA)の用途、販売先等を拡大していくべく、プロジェクトを行っています。

 現在は中国から車を輸入し、改造して販売しているため、販売台数がわずかですが、将来的に国内で生産して生産台数及び販売数を伸ばしていく構想です。

 今回、統制群と措置群(改善案)を見直しました。

 統制群を従来のNINAのターゲット及びコンセプト(高齢者向け、低ランニングコスト、非常電源)とし、措置群(改善案)として、(動く広告媒体としての利用、遊園地、キャンプ場等の広い施設内の移動手段)を設定し、この方向でS社に報告及び提案を行っていくことしました。

 来年度の活動は、具体的な関係先企業をもたずに、既存の実践研究会の成果物をベースにして、「新規顧客開拓」に特化した経営支援ツールを作成し、活用・発信していくこととしています。具体的な業種モデルとしては、アパレル関連のOEM/ODM業界を想定して行うこととしています。

スポーツマーケチーム(ProPadel Japan株式会社様とパデルを盛り上げる)

ProPadel Japan株式会社様と共に、世界規模で急成長するスポーツ「パデル」を国内でも盛り上げるため、認知度・利用人口増加、神奈川県のパデルコート増設をミッションに活動しています。

今回は会社員が仕事帰りに「気晴らしに参加する」ケースを想定し、参加意向に影響を与える差別化要因を仮定してランダム化比較試験のシミュレーションを実施しました。まず、参加意向に影響を与える要因として①気軽さ、②おしゃれ、③リフレッシュ、④社交・コミュニケーションを選定しました。そこから、パデルが他のアクティビティとの差別化要因になり得ると考えた「ルールが簡単」「飲食しながら遊べる」「人との新たな出会い」を処置群に設定し、これらを強調することで統制群と比較して対象の参加意向が高まると仮定しました。

コミュニティマーケティングチーム

第2回目の打ち合わせとなる今回は、支援先の選定についてチーム内で議論しました。電気工事系コミュニティとEQ系コミュニティの2つの候補から、EQツール系コミュニティ(WBCラボ)を支援候補として進めることに決定しました。WBCラボは大きく3つのコミュニティ(入口:ファンコミュニティ、コア:運営コミュニティ、ファシリテート:ツール展開先)からなります。先方の期待値、チームの与しやすさを鑑み、ファンコミュニティ(入口)の試行錯誤についての協業を提案することとしました。

3.最後に

当研究会では、新入会員に対して積極的に発表や活動の機会を得てもらおうというスタンスで運営されています。また、研究会内各チームの活動についてもそれぞれのテーマに真剣に取り組んでおり、中小企業にとって必要な支援策を生み出そうという気概に溢れた仲間が集まっています。ご興味を持たれた方は、ぜひ一度体験見学会にご参加ください。

(以上)