2月22日の定例会では、デザイン思考講座の第6回目として、各チームに分かれ、テーマごとに統制群と処置群を設定し、顧客視点を重視した柔軟な発想で課題解決に取り組みました。構造モデリングやランダム化比較試験の事例を参考に、各チームが具体的な企画や改善策を議論しました。
1.実施概要
開催日時
2025年 2月22日(土) 14:00-17:00
実施方法
Lプラザ (石川町)
2. 各チームの活動
ブランドチーム
私たちのクライアントである株式会社和える様は、事業の一つとして研修事業を実施しており、PJでは認知度UPと受注獲得を目指しています。研修の特徴は「伝統工芸品を使ったワークショップを通して共感力や言語化力を養い、チームビルディングを実現するものです。
今月は下図の統制群と処置群について、前回の作業を一旦白紙に戻し、アンケートに回答する人の立場に立って再度「研修を選ぶ際のポイント(要素)」を検討しました。
今後は以下の統制群と処置群でアンケート実施し、会える様のウェブサイトのLPの改善点や、「目に見えないサービス」のよさを伝えるために受講者の声を掲載するなどのソリューションに繋げます。
新事業開発チーム(Aホテル)
本チームは、先月検討した処置群をベースに「ランダム化比較試験(RCT)」をM大学と連携して実施し、調査結果の速報を小泉代表から今月のデザイン思考講座5回目で共有されました。
本結果及びこれまで議論を重ねてきた内容をベースに、4月上旬のAホテル最終報告に向けて準備します。
情報発信チーム(社会課題解決型新事業『1piece for 2PEACE』)
物流企画会社S社の新規事業として、障がい者就労支援施設で製造されたクッキーを企業内で販売し、その売上の一部を生活困窮者支援に寄付する取り組みを支援中です。
これまでの販売では、「社会貢献」を前面に打ち出したコンセプト「1 piece for 2 PEACE」を採用してきました。しかし今回、購入者がクッキーを選ぶ動機として、「社会貢献」よりも「美味しさ」や「品質・安心」といった商品そのものの魅力の方が有効ではないかという仮説を立て、今後実施予定の**ランダム化比較試験(RCT)**に向けた準備として、訴求方法のバリエーション(処置群)を検討しました。
検討された訴求パターン
■統制群(従来コンセプト)
「1 piece for 2 PEACE」
事業所内の販売イベントでクッキーを販売。購入者は障がい者と生活困窮者の両方を支援できる社会貢献型商品であることを強調。
■処置群(新たに検討された訴求案)
【A. 社会貢献の切り口を変更】
1) 具体的な成果を強調
クッキーを買うことで、障がい者の「時給アップ」に直接つながると訴求。
2) 個性への共感を訴求
「みんなちがって、みんな美味しい」-作り手と商品の多様性・個性を魅力として表現
3) カジュアルな社会貢献
手軽にできる社会貢献として、負担感なく参加できる点を訴求
【B. 商品の魅力を訴求】
4) 美味しさの訴求
ティータイムにぴったりの、手作りで美味しいクッキーとして訴求
5) 品質・安心の訴求
丁寧な製造工程により、高品質で安心して食べられる商品であることを強調
今後の予定として、上記の統制群および処置群を用いて、ランダム化比較試験(RCT)を実施し、どの訴求が最も購買意欲を高めるかを検証します。これにより、より効果的な販促メッセージの最適化と、持続可能な社会貢献モデルの構築を目指します。
売上拡大チーム(未来の社会を見据えた新たなモビリティ事業企画)
本業が看板製作で、太陽光発電による常夜灯を作成している関係先企業S社の小型EV車(NINA)の用途、販売先等を拡大していくべく、プロジェクトを行っています。
前回(1月)の定例会で、ランダム化比較試験で統制群と処置群を設定する前段階において「70歳以上の高齢者」の「お出かけのしやすさ」について、分解し、ロジックツリーを作成しました。
今回(2月)、前回のロジックツリーを見直し、切り口を「ランニングコスト」。「疲れにくさ」、「安心感」、「時間効率」としました。その上で、「統制群(NINAのない生活)」「処置群(NINAのある生活)」を設定し、両社の想定される違いを示しました。
スポーツマーケチーム(ProPadel Japan株式会社様とパデルを盛り上げる)
ProPadel Japan株式会社様と共に、世界規模で急成長するスポーツ「パデル」を国内でも盛り上げるため、認知度・利用人口増加、神奈川県のパデルコート増設をミッションに活動しています。
今回は会社員が仕事帰りに「気晴らしに参加する」ケースを想定し、参加意向に影響を与える差別化要因を仮定してランダム化比較試験のシミュレーションを実施しました。まず、参加意向に影響を与える要因として①気軽さ、②おしゃれ、③リフレッシュ、④社交・コミュニケーションを選定しました。そこから、パデルが他のアクティビティとの差別化要因になり得ると考えた「ルールが簡単」「飲食しながら遊べる」「人との新たな出会い」を処置群に設定し、これらを強調することで統制群と比較して対象の参加意向が高まると仮定しました。
コミュニティマーケティングチーム
「顧客を共創者として、共に作り・楽しむコミュニティ」を作ることを目指し、今月から活動を開始しました。今月は初回ということもあり、各メンバーがうまく回っているコミュニティ、回っていないコミュニティの事例を持ち寄り、①コミュニティへの流入量を増やし、②ロイヤリティを高め、③流出を抑えるためのポイントについて議論しました。
また、来年度の活動に向けた支援候補先についても検討しました。
3.最後に
当研究会では、新入会員に対して積極的に発表や活動の機会を得てもらおうというスタンスで運営されています。また、研究会内各チームの活動についてもそれぞれのテーマに真剣に取り組んでおり、中小企業にとって必要な支援策を生み出そうという気概に溢れた仲間が集まっています。ご興味を持たれた方は、ぜひ一度体験見学会にご参加ください。
(以上)