営業の中には、売ったら売りっぱなしで、その後のフォローやサポートが疎かな場合もあるようです。しかし、既存顧客は貴社の製品やサービスをよく理解しているため、既存顧客との信頼関係の構築は、その後の売上拡大につながり易いメリットがあります。
貴社の売上を安定的に伸ばすには、既存顧客へのフォローやサポートをしっかり行い、リピートオーダーにつなげる努力が必要です。
マーケティング法則のなかに「1:5の法則」があります。これは既存顧客を守るコストに対し、新規顧客を獲得するコストの方が5倍掛かることを示しています。
既存顧客からリピートオーダーを受注し続けることができれば、効率的な営業活動を進められるという訳です。 既存顧客を大切にすることが、Withコロナにふさわしい営業活動です。
1.電話やWebなど非対面営業でも対応できる
対面営業では築き易かった信頼関係が、電話やWebのみの非対面営業では出来にくいと言えますが、どこの会社も状況は同じです。そこで非対面営業ならではの課題に配慮しながら活動し、数少ない対面営業の機会を切り札として活用すれば、従来通りの関係が維持できます。
(1)Web商談
①対人スキルは一旦忘れる
「いつもより自分の表情やリアクションをオーバーにしてみる」、「自分の声のトーンを少し高めに変えてみる」といったことを試してみましょう。それだけで相手に明るい印象が伝わります。また、要点を整理しながら話すスキルも大切になります。相手の理解度を小まめに確認しながら、相手に積極的に発言してもらいやすい環境を作ってください。
②見やすく分かりやすい資料作り
画面越しでも見やすい文字サイズで作ることが重要です。細かい文字でぎっしり書かれた資料を提示されても、短い時間では読み切れません。資料は簡潔かつ明快な内容で作成し、事前に目を通して欲しいものなのか、会議の時に使う参照資料なのかを明確にしましょう。
(2)Web展示会
①Webサイトとの違いを工夫する
Web展示会は、コミュニケーションがインターネット越しになってしまうため、イベントとしての臨場感がどうしても弱くなります。Web展示会をベースにしつつ、部分的に対面でのイベントも追加開催したり、お客様が、都合のよい日時を予約して、営業担当者の説明を直接受けられるオンラインブースを用意したりといった工夫が大事です。
②PULL型の営業に徹し、集客データを分析する
Web展示会では、どうしても相手の関心が向くのを待つ「PULL型」の営業スタイルになるデメリットがあります。反面、場所・期日・時間の制約がなくなることによって、集客の幅を大きく広げることができるメリットがあります。参加申し込みから来場・離脱まで、参加者の行動履歴を、MAツールなどで取得し、参加者のニーズや、興味の度合いを分析することが可能になります。このデータによって、どんな層の来場者が、何に関心を持っているのかを高い精度で分析でき、今後のマーケティングに有用な示唆が得られるでしょう
2.提案を怠らない
お客様に満足・感動を与える提案のためには、競合他社との差別化が大切です。それには知識や情報の収集・整理が必要になります。知識には、業界や自社の歴史や業務に関するものと、自社製品やライバル製品に関するものなどがあります。また情報には、市場やお客様及びその先の最終顧客に関するものと、自社の戦略やライバルの戦略に関するものなどがあります。
表1.提案で成否を分けるポイント
失敗する営業マンの言動 | ・専門的な情報、知識がない ・提案に工夫がない ・いつも同じ話ばかりをする ・世間話を避けたがる ・他人行儀 である、または、逆に慣れ慣れしい |
成功させる営業マンの心得 | ・販売技術、業界情報、商品知識をレベルアップする ・(お客様のことを)自分ごとのように熱中する ・相手の懐にとびこむ |
3.フォローにこそ時間を掛ける
お客様から注文を頂いてからは先ず事務処理を迅速にすることが大切です。また、納期違反は契約違反であり、お客様に多大な迷惑を掛けることにより信用失墜の最大の原因になりますので営業マンとしても目配り・気配りを怠らないようにして下さい。更にアフターフォローでは、お客様からのクレームから逃げずに、「クレームは言ってくれるうちが花、言われなくなったら見限られた証拠」と思って正面から受け止めて下さい。見返りを期待しないサービスこそ、本当のサービスと心得、信頼関係の継続に努めて下さい。
表2.アフターフォローで成否を分ける
失敗する営業マンの言動 | ・放ったらかしにする ・変化に無頓着 ・新情報、新提案がない ・他部門まかせ(責任転嫁) ・暇つぶしだけに来る ・成長が見えない |
成功させる営業マンの心得 | ・お客様への関心を持続させる ・プラスαのサービスを心掛ける ・成長し続ける、新しい自分を見せる |
まとめ
商談を進める上で良好な人間関係は必要ですが、お客様が最も重要と考える項目は「わが社の課題を解決してくれること」であることを忘れてはなりません。今や営業には、お客様の課題を見つけた上で、最終的にお客様の事業拡大に結びつくことを目標に、製品やサービスを提案するスキルが求められます。Withコロナの営業活動には、「顧客の課題を発見し解決に導く」という意識が欠かせません。
また、Withコロナでは対面しない仕事の進め方が重要ですが、対面営業をすべて無くせる訳ではありません。対面が必須の業務と、非対面でもできる業務に営業活動を区別し、実践していくことが大事です。