Withコロナ時代の「商談で役立つ質問の仕方」

製品やサービスの種類・用途・価格などの違いで商談の進め方は多種多様ですが、商談には共通の基本があります。営業活動をできるだけ効率化し、かつ顧客満足を実現しながら売上を伸ばしていくためには、ぜひ商談の基本を身に着けてください。 

 1.SPIN(スピン)の概要 

SPIN(スピン)とは、顧客を中心に考えて商談を進めていくための「4タイプの質問」のことです。説得・説明型の商談とは異なり、顧客に適当なタイミングで、適切な質問をすることで、顧客の発言を引出し、その内容に傾聴することに重点をおきます。顧客満足を目指しながら商談成立を実現するためのコミュニケーションの基本です。 

SPIN話法とは?相手の潜在ニーズを引き出す質問のフレームワークを徹底解説 | マケフリ

(1)状況確認質問(S:Situation Questions) 

顧客の「現在の状況」について、事実を確認するための質問です。営業担当者にとって、確認したい事項を質問することも重要ですが、顧客にとって「意味を感じられない質問」になる可能性があります。商談成立に悪影響を及ぼす質問にもなるリスクすらあります。多くの営業担当者は、この種の質問を行い過ぎますが、事前に質問内容を精査することで、不必要な質問を省くことができます。 

【状況確認質問の仕方】 

  1. 「今お使いの車にはカーナビが装備されていますか」 
  1. 「現在お使いの生産管理ソフトは、どのパソコンとプリンターと接続していますか」 

(2)課題洗出し質問(P:Problem Questions) 

顧客が現在直面している課題、困難または不満について質問します。状況確認質問よりも顧客にとっては意味のある質問です。商談の経験を積んだ営業担当者は、状況確認質問よりも課題洗出し質問を多く用います。このためには、「自社の製品やサービスが顧客の課題を解決できるかどうか」の観点で質問内容を考えることが重要です。逆に、製品の持っている特徴や性能が「顧客にとって良いか悪いか」の観点で質問内容を考えてはいけません。 

【課題洗出し質問の仕方】 

  1. 「今お使いのカーナビで、不便を感じたことはありますか」 
  1. 「現在お使いの生産管理ソフトに、どの程度満足していますか」 

(3)気付き促発質問(I:Implied Questions) 

顧客にとって、特に有意義な質問です。現在の課題から、今後発生する可能性のある悪影響を、顧客自ら気付き再認識することを促します。この種の質問を的確にすることは非常に難しいですが、優秀な営業担当者は、多くの気付き促発質問を行います。 

【気付き促発質問の仕方】 

  1. 「現在ご使用のカーナビのためどのような危険にあったり、どれくらい到着時間がおくれたりしましたか」 
  1. 「現在の生産管理ソフトで、どれくらいの納期遅れを削減することができましたか」

(4)解決応用質問(N:Need-payoff Questions) 

自社が提案する課題解決の方法が、「顧客にとってどのような価値または有用性があるのか」を質問します。この質問を通して自社が提案する課題解決策が顧客にどのようなメリットをもたらすのかを、顧客自身の言葉で発してもらいます。質問内容に対して、顧客の回答がポジティブなものであれば、顧客の購買意思決定を後押しできるでしょう。 

【解決応用質問の仕方】 

  1. 「私共のカーナビは、お客様にとって他にどのような使い方ができるでしょうか」 
  1. 「私共のソフトを導入した場合、平均工期を更にどれくらい短縮できるでしょうか」 

2.SPIN(スピン)を使うときの注意事項 

「課題洗出し質問」を行う場合は、商談において第三者から課題を指摘されることを嫌う顧客も少なくないことに注意を払う必要があります。また、顧客が第三者に課題を上手に伝えることを嫌う場合もあります。営業担当者は真摯な態度で、顧客の課題を引出し、共有・共感することが重要です。

そこで、「課題洗出し質問」を「気付き促発質問」と併用して顧客とコミュニケーションをとることが有効です。気付き促発質問は、4タイプの質問の中で一番重要です。質問する時の原則は「非誘導」です。顧客が自ら語った言葉をできるだけ多く引用して、質問を組み立てていくことが大切です。

また、「解決応用質問」を行う際の原則は「非提言」「非誘導」「非評価」です。顧客とのコミュニケーションを通して、自社の製品やサービスの価値を顧客自身の言葉で確認します。時には耳の痛いコメントを頂くこともありますが、真摯な態度で傾聴します。 

 3.Web商談の心得(まとめにかえて) 

Web商談には、①外回り営業に係るコストの削減、②営業活動の効率化、③受注機会の拡大といったメリットがあります。Web商談をスムーズに行うためには、先ず事前の準備が大切です。通信環境やカメラ映え等を確認しておきましょう。

また、お客様に開催案内を出すとともに、参加者情報を調べておきましょう。そして5分間にはスタンバイしてください。実際の商談では、伝えるためのポイントは、次の3つです。
 ①ゆっくり(話す)
 ②(一文は)短く
 ③(身振りは)大きくする

ただし、最も肝心なことはマナーです。次の4点には特に注意してください。
 ①一方的に話すことは慎しむ
 ②適宜、質問を挟むことを忘れない
 ③同時に発言すると聞き取れなくなりますので、被せるない
 ④自分が話さないときは、必ず音声をミュートにする。 

これらに注意して、Web商談の実践を通じて腕を磨いて行きましょう。