6月24日の定例は、冒頭に、荻野美紗会員から「推し活と新たなマーケットの可能性」、近藤洋大会員から「酒類業界(特に日本酒)の現状と課題」と題して、各会員の現在の取り組んでいる市場や業界に関する興味深いお話をいただきました。その後、各チームに分かれて、分科会活動を行いました。
1.実施概要
開催日時
2023年 6月24日(土) 14:00-17:00
実施方法
オンライン会議(Zoom)形式 + 会場(Lプラザ)
2. 実施内容
荻野美紗会員:「推し活と新たなマーケットの可能性」
荻野会員から、現在の業務に少し関りのある「推し活」についての発表がありました。「推し活」を取り巻く外部環境を多角的に分析し、「推し活」を中小企業の経営戦略に取り込むための具体的なマーケティング手法について説明がなされました。
「推し活」を生活の中心とする若者の行動の変化により、雇用形態や消費動向などが大きく変化しており、中小企業はこれらの変化をとらえてマーケティングを行うことにより、新たなニーズを取り込めるのではないかとのことでした。他の会員から「推し活疲れ」についての質問が出るなど、テーマに対する関心の高さが伺えました。
近藤洋大会員:「酒類業界(特に日本酒)の現状と課題」
近藤会員から、前職で長年携わられた「酒類業界(特に日本酒)」についての発表がありました。直近の成人一人当たり酒類消費数量は減少傾向で、若者の酒離れが顕著であり、日本酒、焼酎といった「国酒」の消費割合が少なくなっているとのことでした。
一方、特定名称酒といわれる付加価値の高い酒は伸びているとのことで、若者へのPR機会づくりや、付加価値を価格に反映するために銘柄分けによる価格設定の見直しなどが、収益拡大のための課題ではないかとの指摘がありました。
「どんぶり勘定」「プロダクトアウト志向」など、酒類業界に限らず、中小企業にありがちな特性などについても触れられていて、低収益脱却に関する質疑が複数ありました。
新事業開発チーム
6月度例会は、欠席会員が多かったため見送りとなりました。
先月の例会後、会員による自主的なオンライン打ち合わせ、並びに支援先企業様との打ち合わせが行われ、チーム活動は進んでおります。
今回議論予定であった支援先企業様に対する販促ツールについては次回議論予定です。
ブランドチーム
5月のチームディスカッションで決定したとおり、「ブランディング事例コンテスト」の入賞事例の紹介(2件)を実施いたしました。
1.ぺんてる株式会社マーケティング事例(吉田さん)
①売上高371億、1946年戦後創業、クレヨン、サインペンの販売(第一次ブランディング)
②社名をぺんてる株式会社に変更(第2次ブランディング)
ここまでが文具、ここから新規事業(業務用コンピュータ、修正液などカネボウ化粧品とアイライナー開発)
③正解からはみ出そう(第3次ブランディング) なんで→ 3次をやったのか?
④考えられる背景
・売上減少(2018年41%減)、株主変更(投資ファンド)といったごたごた
・ぺんてるらしさを探求、独創的な企業のブランディングを追求しようとした?
・社員だからできるぺんてるらしさの探求、仲間づくり→
⑤タスクチーム(準備) ブランドメッセージ創出 シンボルプロジェクト(ぺんてるらくがき→ → Week)(凝縮)
・社長から正解からはみ出そう宣言 毎年→ → 10月Pentel Day開催(拡散)
⑥成果:社内ブランドで会話が活性化、表現するよろこびをはぐくむというビジョンにも再び光
・社員に受け入れられて他の部にもポジティブな波及
・ファンとつながる、新しいものの機会創出、可能な限り施策を連続的に実施(診断)
<ディスカッション>
・このプロジェクトでどういう成果があったのか?
・まだ社内で実践してる段階?製品で世の中には出てない?(文化改革が評価された?)40%減は事業売却等が原因?
2. 九重雑賀マーケティング事例(宮尾さん)
①受賞内容;赤酢がある食卓で人生を豊かに 和歌山の蔵元が販路開拓 100年以上の創業歴史あり。法人化は2006年。
②成果:売上2,07倍、リピーター率10%→37%、数字以外の効果もあり(顧客目線の商品づくり)
③企業概要
・洞爺湖サミット、南アフリカでの日本のお酒、ダボス会議など著名なイベントで重用。大会入賞歴もすごい。
④お酢の基礎知識(お酢と日本酒ってどういう関係?)
・お酢は醸造酢、合成酢に分かれる。醸造酢は穀物酢と果実酢に分かれる。赤酢は穀物酢に分類→
・赤酢は酒粕(搾りかす)を使用する。酒粕のアルコールが熟成される。普通の米酢はお酒そのものを発酵させるので手法が違う。
・原料が搾りかすなので庶民にもなじみが深い歴史あり。
⑤準備 凝縮 拡散のプロセス①→② →③
・経営陣とプロジェクト結成 3①② C分析で「赤酢で人生を豊かに」という価値を明文化 ロゴ、③ HP,ECサイト刷新、赤酢ベースのすし酢の開
発
⑥日本酒市場が縮小傾向、もともと日本酒を売りたかったがブランド蔵元が多く競合が多い状況。日本酒と赤酢を同じ敷地で醸しているという強みを活かし、ブランディング。
⑦強みを活かせる赤酢を選定、メッセージの一貫性がある、全社的な活動、社長の情熱がキーポイントと考察
<ディスカッション>
・どうやって多くの受賞やイベントに卸すことができたのか?2006年以降〜2015年までコネクションで活動?その後赤酢に注力という流れ。
・競合と市場が成熟してきてる背景が見て取れる。日本酒は大量製造ができない。日本酒で賞とっても製造と単価問題はある。
・赤酢に切り替えたのが生き残れた要因。早めに気づいて2本柱にした点が大きい。SDGs観点も売りにできる。(酒粕だから。廃棄ロス観点)
・伝統製造にどこまでこだわるか?工程短縮する手法があれば大量に出せたりする。
・ 酒造に酒粕活用テーマで攻め口ある?酒粕捨ててる状態の活用の切り口★
情報発信チーム
情報発信チームでは「ビジネスの課題と可能性を顧客視点で」設定できるようになるために、9月までの予定でカスタマージャーニーマップの制作に取り組みます。6月の定例会では、各自が興味関心のある製品、サービスの顧客をイメージしてペルソナを設定し、設定したペルソナのカスタマージャーニーマップを作成してディスカッションを行いました。
「ロジクール製ハイスペックマウスのカスタマージャーニーマップ」
「家族画像、動画共有アプリ『みてね』のカスタマージャーニーマップ」
ペルソナは対象顧客の特徴を想像して設定するため、テキストには「妄想」になってしまう懸念について記載されています。著者は当然ながら否定していますが、今回のチームでの議論において、想像したペルソナが他のメンバーの知人である製品利用者とかなり近い特徴を表していることが明らかになり、図らずもペルソナの実用性の高さが明らかになりました。
「ペルソナ、カスタマージャーニーマップの精度をより高めるために、複数の関係者でディスカッションを行うことが必要である」との意見に、メンバー一同納得の様子でした。
売上拡大チーム
売上拡大チームでは、過去に作成したコンテンツについて、新しいメンバーになった方々に紹介、内容共有を今回から行い始めた。今回共有したコンテンツは以下のものになっている。
■クイック診断
テクヨコ等の展示会で経営相談のとっかかりとして使えるツール
■見えるかマネージメント
数名から20名程度の規模の会社で、経営・営業の見える化が出来ていない企業向け
3.最後に
今月はお二人の方が体験見学会にお見えになりました。 当研究会では、新入会員に対して積極的に発表や活動の機会を得てもらおうというスタンスで運営されています。また、研究会内各チームの活動についてもそれぞれのテーマに真剣に取り組んでおり、中小企業にとって必要な支援策を生み出そうという気概に溢れた仲間が集まっています。ご興味を持たれた方は、ぜひ一度体験見学会にご参加ください。
(以上)