2023-07-22 定例会報告

7月22日の定例は、冒頭に、情報発信チームから「身近な製品・サービスのペルソナ設定」をテーマにセッションが行われました。続いて、阿部和子会員から「コールセンターの実態と活用法」と題して、自身が携わってきたコールセンター業務に関して説明いただきました。その後、各チームに分かれて、分科会活動を行いました。

1.実施概要

開催日時

2023年 7月22日(土) 14:00-17:00

実施方法

オンライン会議(Zoom)形式 + 会場(Lプラザ)

2. 実施内容

情報発信チームセッション:身近な製品・サービスのペルソナ設定

冒頭の情報発信チームから、今回のセッションの題材としてペルソナ設定を選んだ背景とペルソナ設定の活用方法などを説明した後、事前課題を提出頂いた9名の会員の各々から発表を頂いた。発表した会員からは、ペルソナ設定の内容の説明に加えて、1) 設定が難しかった点、2) 設定してみて気付いたことなどをフィードバック頂いた。

複数の会員から、1) ペルソナを設定していくうちに、自分の妄想ではないかと感じた、2) ペルソナ設定を行うとターゲットが細分化され過ぎないか不安になった、との感想が寄せられた。

この点については、1) 定量的データ(統計データなど)と定性的データ(インタビューなど)からペルソナの信頼性を高める、2) セグメントが細かくなりすぎないように、セグメント内の顧客が類似のニーズや行動を持ち、共通した特徴を持つことを重視する、などの対策があることを確認した。

一方で、ペルソナの課題を、ペイン/ゲインといった側面に分けて考えることによって、ご自身思考を整理できた、という効果も報告されました。

ペルソナ設定の精度を高めることは、次のカスタマージャーニーマップの作成段階を成功に結びつけるための重要なポイントになります。顧客起点のマーケティング施策立案には、欠かせないものになるため、しっかり習得していきたいと思います。

阿部和子会員:「コールセンターの実態と活用法」

多くの企業で勤務経験のある阿部会員(ニックネーム:わこちゃん)より、コールセンターの実態と活用方法について発表いただきました。直近では、官公庁等によるコロナ禍を背景としたスポット案件が市場規模を押し上げているそうです。また、民間企業においても労働力不足や非対面・非接触コミュニケーションチャネルとして重要視されており、今後も市場は堅調に推移すると予測されています。

阿部会員自身は、20人程度のオペレーターをマネジメントするスーパーバイザーとして8年経験しており、業務の流れやコールセンターで重要視されているKPIを知ることができました。業務改善で効率を上げ、オペレーターを半数まで引き下げることにも成功したそうです。




また、売上拡大のためにコールセンターの活用も検討の価値があります。見込み顧客へのコンタクト量を増やすことで、受注数を増やすことが可能です。


最後にコールセンターを利用する際の注意点として、以下の5点を挙げられました。

1.業務内容や要件、範囲を明確に

2.見積もりは3社以上

3.スタッフの教育体制

4.コールセンタースタッフの募集内容

5.可能であればセンターを見学する(オペレーションルームには入れないことが多い)

実際にインサイドセールスを検討している会員から進め方について質問が出るなど、大変興味深いお話を聞くことができました。

新事業開発チーム

 EV補助金の活用を前提とした支援活動を継続しておりましたが、7月度例会前に当該補助金の申請受付が終了してしまいました。本補助金の競争率の高さや競合のスピード感に対する警戒感の不足を反省し、今後の活動に活かします。

 今後の方針は、補正予算(例年、11-12月予算編成、1月国会審議、4月執行)での補助金復活を見越して準備を整えていくなども含め、支援先企業様のご意向を踏まえてつつ決定しようと考えています。

ブランドチーム

先月同様、引き続き「ブランディング事例コンテスト」の入賞事例の紹介(2件)を実施いたしました。

1.プレミアムヘアーサロンKOTOBUKI(成田さん)

 以前はパンチパーマ専門店で、2009年には最高売上の半分に減少してしまう。また、外部環境として、理容室数も減少しているが、従業員の減少の方が問題となっている。

 その中で、2代目がモチベーションアップのために等級制度など見直し、エンゲージメント、人材育成など、インターナルマーケティングを開始。特に、ありたい姿の明確化(3C、SWOT分析:顧客ニーズ対応できていない:企業理念、ブランドアイデンティティ作成)により、エクスターナルマーケティング(4P)→売上向上と続けた。その結果、ターゲット・ポジションを設定し、理容室に、ヘッドスパやフェイシャル、脱毛など新たな価値を追加することで、客単価の向上が図れた。

つまり、理容業界の問題が窺える課題を把握し、ニーズを捉えつつ、顧客要望に合った付加価値化を実現することができたと考えられる。

<ディスカッション>

・よく調べられている。診断士らしい分析

・従業員募集から始めて、インターナルマーケティングで売上向上につながったのか?従来顧客が高齢化するのはよくあるが、先に人材育成で成功したのか?

 →HP程度しか情報がなく、順序は不明であるが、恐らく従業員を採用し、その後HPに掲載したり、雑誌などの仕事を載せたり、とモチベーションアップさせている。

・客単価を上げるために、設備投資も必要と思うので、本当の成功は、投資判断含めてこれからかもしれない。

 →ブランドイメージを統一するため、設備投資はかなり実施していると思う。収益までは未確認。売上は向上。

 →ホットペッパービューティーなどに頼らず実施している所がすごい!

 →理容と美容の違いもあるかもしれない。

 →男性特有の相談など、理容店の方ができそう。

・アイロンパーマをおしゃれに活用することで、強みを活かしている。

2. 株式会社 Sales Lab(竹岡さん)

 親会社(TIS系リサーチ会社)と異なる事業(インサイドセールス専門:営業DX支援)を開始する、ということで、リブランディングを実施。まずは、40代社長が社内プロジェクトとして立ち上げて組織整備し、3,4年後に分社独立。テレアポとの違いをアピールする(闇雲に電話するのではなく、あらゆる手段で高いリーチ率を目指す)と共に、、コンセプトを明確化した。(ブランドサービスの体系化:人材、ツール、戦略)

 親会社のマークは継承し、資本力をうまく活用、一方で、「Sales Lab」(セールスを研究する)という名前にもこだわっている。

 ブランディング方法としては、段階的組織化(早期創業、外的環境(コロナ)の機会)→事業領域の差異化(うまく親会社の資産活用)→明確なブランディング戦略(独自性確立:ペルソナ設定、ブランド・アイデンティティ確立)

<ディスカッション>

・新しい多角化ブランディングの良い事例と思う。成長できる所が見えたら分社化するのが良い。マーケ研も「研究会」ではなく「lab」にしたら、お客さんが来るかも・・・

・売上は向上しているが、収益までは非公開。

・親会社の事業領域を全く超えているか?

 →ある程度支援や資産を活用していると思われる。

・大企業が社内でベンチャ開拓しても、従業員が変われないので失敗しがちであるが、これなら良い距離感で成長できる。そのためのリブランディングも効果的。

・ブランディングはいつから実施しているか?

 →親会社の頃から構想はあったと思われるが、実際いつからかは不明。

 →リブランディングの効果がどこまであったかはわからないが一貫性はある。

・日本もこれからデジタルマーケティングをやっていかないと・・・

 以上

情報発信チーム

情報発信チームでは「ビジネスの課題と可能性を顧客視点で」設定できるようになるために、9月までの予定でカスタマージャーニーマップの制作に取り組みます。7月の定例会では、6月に引き続き各自が興味関心のある製品、サービスの顧客をイメージしてペルソナを設定し、設定したペルソナのカスタマージャーニーマップを作成してディスカッションを行いました。

「学生服のリユース販売(新規事業)のカスタマージャーニーマップ」

新規事業として支援先と取り組んでいく中でカスタマージャーニーマップを作製したことにより、より具体的なイメージができたとのことです。私にも中学生や小学生の子供がいるため、このようなサービスがあったら良いなぁと思いながら意見交換をしました。


「LIVE ROOTS 2のダンスライブ参加→ファンクラブ加入のカスタマージャーニーマップ」

メンバーには馴染みのない分野でしたが、具体的なペルソナ像やカスタマージャーニーマップにより、顧客行動や感情変化を知ることができました。ファン同士のコミュニティを活性化させることが重要だというのが最終結論でした。

いよいよ8月からはある支援先を題材にし、メンバー全員でペルソナ、カスタマージャーニーマップを作成します。通常、このような作業は対面で行うのですが、今回はあえてオンラインで取り組んでみます。実際に成果が出せるような取り組みにしたいと、メンバー全員が熱い想いを持って臨みます。

売上拡大チーム

売上拡大チームでは、先月に引き続き、過去に作成したコンテンツについて、新しいメンバーになった方々に紹介、内容共有を今回から行い始めた。今回共有したコンテンツは以下です。

■転ばぬ先の事業整備

 企業支援の入りの段階で、事業基盤整備に不可欠なあるべきプロセスと留意事項を網羅的に全体像で示し、経営者と診断士間で事業課題を見つけるための診断士用に作成したツール。※ISO20000(サービスマネジメントシステム)の要求事項をベースに企業が取組むべき事業プロセスを分かりやすく書き下ろした内容となっています。さらにチーム内で、このツールから、経営者向けの問いかけに変換したセルフ点検シートと合わせてチーム内で情報の共有を行いました。

3.最後に

梅雨も明け、暑い日が続いておりますが、皆さん体調はいかがでしょうか。
当研究会の代表である小泉さん(ニックネーム:Masaさん)が、この暑さにも負けない研究会への熱い想いと、今後の課題について語った記事を掲載しましたので、こちらのページもご覧ください。
「新たな時代への成長ストーリーを共に創る」
研究会に興味を持たれた方は、ぜひ一度体験見学会へ遊びに来てください。

(以上)