公開オンライン講座「不確実な時代を乗り切り、次の世代にバトンをわたす」の開催報告(2/2)

前回の基調講演の報告に続き、今回は、小倉仁志会員による「今こそ見直そう。営業の強化は『3つの見える化』から」の講演内容を紹介いたします。

「今こそ見直そう。営業の強化は『3つの見える化』から」
(小倉仁志会員)

中小企業や小規模企業では、社長一人、または、カリスマ社員に頼って、営業活動を行なっていることが多いようです。これを、人に頼る営業という意味で、「属人的な営業」と言います。社長やカリスマ社員が引退したら、会社はどうなるのでしょうか?とたんに、売上が急減してしまい、会社の経営に深刻な影響を及ぼしてしまいます。

そこで、個人任せ・個人頼みの営業から脱却する方法を考えてみましょう。それは、一人ひとりが自ら考えて行動できる、困っている時には互いを助け合うチーム創りです。そして、自分・全員でPDCAをしっかり回せる仕組み創りです。

1. 顧客の見える化

顧客との関係づくりに取り組もうとしても、顧客の情報が社内で共有化されていないために、スムーズに進まないケースがよくあります。そこで、主要顧客の全体像がつかむために、売上高や粗利額などの指標を決めて、それをグラフ化して「見える化」することが有効です。

ここで大事なのは、A社、B社など主要顧客ごとの売上高などの指標をグラフ化するだけなく、「増減の理由をはっきりさせる」ことです。仮説でも良いので、理由を探ったうえで、社内の関係者と一緒に仮説の妥当性について議論しましょう。

このような議論を行うことで、社員全員で、課題を見つける場が築かれますし、全員で解決策を考えて、次のアクションに結び付けることが習慣化できるようになります。

2. 強みの見える化

売上を上げる手段のひとつが顧客開拓です。そのためには、「自社の強み」を明確にして、顧客の興味を引く言葉で訴求する必要があります。また、自社の強みを訴求するためには、チラシ、カタログ、ホームページなどの営業ツールが欠かせません。展示会や商談会を前にして、これらの営業ツールがないというお話もよく耳にします。是非、自社の強みを見える化した上で、その内容を顧客開拓に使える営業ツールに展開してみてください。

ここで大事なのは、自社の強み(想い)を「顧客視点」で読み替える(再定義する)ことです。知り合いのA畳店の例に考えてみる次のとおりとなります。A畳店のこだわりは、「自分自身で営業し、自分自身で畳を作っている」ことですが、顧客視点では、「確かな品質」ということになります。また、「材料には国産イグサを選んで使っている」というA畳店の付加価値は、「国産という安心感」という顧客価値に読み替えることができるし、「自分で営業できる範囲にとどめている」というA畳店の状況は、「地元から40年以上にわたり支持されている」という信頼感に読み替えることができます。

3. プロセスの見える化

中小企業にありがちな「属人的な営業」から脱するためには、営業担当者の個の力に頼るのでなく、営業全員、あるいは工場の技術者などとも連携して全社一丸となって組織営業に取り組みことが不可欠です。そのためには、誰が、どのタイミングで、何処へ、どのように行動するのか、「プロセスの見える化(可視化)」が大切です。そうすることで、ごく普通の営業担当者が一定レベルの営業成績を達成することができます。

「プロセスの見える化」は、“ステップ1:営業活動のステップを決める”⇒“ステップ2:必要情報や検討項目を決める”⇒“ステップ3:チーム営業に必要な見える化を整備する”の順番で進めます。“ステップ1:営業活動のステップを決める”では、営業活動のステップを決めた上で、それぞれのステップで、営業担当者が行なうべき営業活動の内容を、これまでの成功パターンを基に、整理して設計していきます。

上図の例では、横軸に、「開拓」「引き合い」「見積り」「商談」「受注」「アフターフォロー」という営業活動のステップを並べ、縦軸に各ステップにおける営業活動・行動の指標を並べた図を作成しています。これは、いわば、営業の仕組みづくりの設計図です。

“ステップ2:必要情報や検討項目を決める”では、営業プロセスを進めるために必要な情報や検討項目を決めます。例えば、引き合いの段階では、「顧客の悩み事」や「悩み事の経営への影響」について情報収集します。次の見積りの段階では、「顧客は単品での貢献、総合的な貢献いずれを欲しているのか」、「経営への数値的な貢献度」などを検討します。さらに商談段階では、「競合の有無、自社の優位性」、「キーマンの意見」など幅広く情報を集めて、受注に至るハードルを下げます。さらに、受注段階では、「購入後のサポート体制」など受注後の顧客との関係を描いておきます。

“ステップ3:チーム営業に必要な見える化を整備する”では、顧客情報(ビジネス概要、経営課題、製品ラインナップ、組織情報など)の見える化度合を評価して、各顧客に対する次のアクションを決めます。また、営業プロセスの段階ごとに営業担当者の得手・不得手を見える化したスキル表を作成することにより、組織として営業担当者をフォローする体制を整えます。このようにして、チームプレーで、売上拡大を達成していくサイクルを築いていきます。

「顧客の見える化」「強みの見える化」「プロセスの見える化」から成る「3つの見える化」で、チーム営業を醸成、強化し、事業承継を成功させましょう!