勝てる営業になる!「提案・プレゼンテーションのコツ」

相手の反応は悪くないのになかなか売れないという悩みをお持ちではないでしょうか?こういう方については、話し方は上手いものの提案内容に工夫が必要な場合が少なくありません。今日はFABE(ファブ)分析をご紹介します。

1.FABE分析の概要

(1) 商品・サービスの特徴の説明(F:Feature)

機能、性能、品質、信頼性、デザイン、サイズなどの特徴をアピールします。価格の安さなども含みます。この特徴をまとめる際には「一言でいうと何か?」を意識しましょう。

【Featureのトーク事例】

  1. 「この車にはカーナビが標準装備されています」
  2. 「この生産管理ソフトは、一般のパソコンとプリンターがあれば機能します」

(2)商品・サービスの利点の説明(A:Advantage)

商品・サービスの特徴がどのように役立つか、問題解決策に効果があるかなどの利点を説明します。商品の使いやすさ、便利性、機能性、安全性などがあります。ここで整理するのは「競合に対する」優位性ですので、競合や業界全体の情報を収集する必要があります。

【Advantageのトーク事例】

  1. 「カーナビが装備されていますから、初めての所に行く時でも道に迷うことがありません」
  2. 「特別なIT技術を持たない人でも、数日の研修を行うことで使えるようになります」

(3)顧客が得られる利益の説明(B:Benefit)

商品・サービスの特徴や利点が、どんなにその顧客の利益、メリット、満足に結びつくかを説明します。このBenefitがFABE分析の中で最も抜け漏れが起こる項目です。またBenefitを数字を用いて定量的に示せるのが理想的です。

【Benefitのトーク事例】

  1. 「休日にいろんな所に家族とドライブされるというあなたにぴったりの車です」
  2. 「この生産管理ソフトを使用することによって、手配が早くなり工期が短縮されます。また手配ミスも少なくなります。御社の場合ですと、生産管理要員を現在の4人から2人に減らすことができます」 

(4)証拠を示す(E:Evidence)

第三者が使用して満足を得ていることなどを説明して証拠を示します。客観的なデータを示すとか、権威ある公的機関の資料を提出するなどの方法もあります。しっかりと裏付けをすることで、お客様への信頼度も増しますので疎かにしないようにしましょう。

【Evidenceのトーク事例】

  1. 「お近くの鈴木様にも先月カーナビ付きの車をお買い上げいただきました。初めての所に行く場合でも安心だと、とっても喜んでおられます。」
  2. 「昨年T測器さんがこのソフトを導入されました。ここは社員170名の電気計測器メーカーです。最初は慣れるのに少し時間がかかりましたが、平均の工期を約20%短縮することができたそうです。」

2.FABE分析の実践

どんな営業マンでも商品の特徴と利点は、お客様に説明します。しかし、売れない営業マンは商品の特徴と利点ばかりを繰返してお客様に説明するだけで、顧客が得られる利益や証拠を示す説明をしないので商談がうまくいかないのです。

できる営業マンは商品の特徴や利点以外に、それをその顧客が使用した場合の利益やメリットを具体的に述べます。同じ商品であっても購入する人によって、価値が違うことがあります。その営業マンは、その人に一番ふさわしい価値を訴求するのです。

また、営業マンが商品の良さを説明するよりも、第三者がそれを使用して得たメリットを紹介することの方が訴求力が高くなります。たとえば、ダイエット商品を営業マンが

「これはダイエットにすごくいいんですよ」と何回も説明するよりも、有名な女優さんが「私はこれを使ってこんなにスリムになりました」と使用前と使用後の写真を見せる方が、はるかに効果があるのです。

ここで認識しておいてほしいのは、F(Feature)とA(Advantage)は商品の特徴と利点で、いずれも商品中心となっていること。そして、B(Benefit)は顧客の利益で、顧客中心となっていることです。ここのところを明確に認識してください。すなわち、F(Feature)とA(Advantage)は売り手の立場でのセーリングポイントであり、B(Benefit)は買い手の立場でのバイイングポイントであるということです。

同じ商品であっても、顧客が変われば、B(Benefit)は変わってきます。もうお解かりですね! 提案トークで一番重要なのは、B(Benefit)すなわち顧客のメリットを訴求することです。商品にいくら特徴や利点があっても、それがその顧客の利益にならなければ購買につながりません。そのためには、その顧客の状況やニーズ、ウォンツを事前に十分に把握しておかなければなりません。できる営業マンはここがうまいのです。

それと提案トークで大切なのは、E(Evidence)すなわち第三者による証明です。これを行う方法はいろいろあります。代表的な納入事例の紹介、ユーザーのアンケート結果の提示とか、有名会社や有名人の使用事例を示す、公的機関の発表資料を示す、などもあります。