「中小企業診断士がホームページ構築依頼を受けた際に忘れてはいけないこと」(3/6)

中小企業経営者よりホームページの構築や改善を依頼された時に、中小企業診断士を始めとする支援者が忘れてはならないポイントを6回のシリーズで紹介しています。

前回は、ホームページ作成支援を行うための作業に入る前に行うべき準備作業として、「ステップ1:簡易な経営診断」、「ステップ2:経営者へのITリテラシー教育」の2点の進め方を紹介しました。今回は、経営者のITリテラシー、支援者自身のITスキルに照らして、案件対応の基本方針を決める「ステップ3:経営者のITリテラシー別、対応方針の決定」について紹介します。

図.中小企業診断士がホームページ構築依頼を受けた際に行うべきこと

ステップ3:経営者のITリテラシー別、対応方針の決定

ステップ2までの検討を経て、ホームページ構築を行う方向となった場合、私は、経営者のITリテラシー・やる気度別に対策を変える必要があると思います。

ステップ2のWeb教育的な会話・説明を終えると、経営者のITリテラシーのレベル(高中低)が見えてきます。最初は何もわかっていなくてもある程度わかってもらえれば「中」、逆に自分の知識を超えるような質問をバンバンするような経営者は「高」、丁寧に説明しても分かってもらえないか、分かる気もなさそうなら「低」ですが、経営者以外にホームページ構築や改善の実施担当者がいる場合は、実施担当者のレベルに応じて対応することをできるかもしれません。

ホームページの再構築依頼の場合は、現状のホームページのどこに問題があるかについて確認をします。また、支援者自身が請け負える案件であるか否かを見極める必要があると思います。支援者自身では手に余ると思った際には、請け負わないか、別の専門家を紹介するか、作業のみ外注するのいずれかを選択する必要があります。そこまでが対応決定作業と捉えてください。

ITリテラシーの低い経営者の場合

IT用語を多用するのは避けて、理解をしているか反応を見ながら、わかりやすい言葉でヒアリング・説明をします。

ネットワーク環境など、聞いてもわからない場合は、PCや周辺機器を見させていただくこともあると思いますが、その際、極力、経営者と共に確認作業を行うことをお勧めします。IT環境の整備やメンテナンスも、経営者の大切な仕事であることを認識してもらう必要があるのと、IT教育も併せて行う必要を感じるからです。

「お任せ」と言えば聞こえはいいですが、「丸投げ」は成果が上がらないどころか、今後発生するリスク(例えばWebサイト用のソフトウェアのアップデートを怠ったために生じたサイバー攻撃による被害など)に対する責任まで、一方的に負わされる可能性があります。経営者(担当者)がどうしてもメンテナンスができないのであれば、保守契約も締結し、定期的に費用をいただく形でないと、割に合わないでしょう。

ITリテラシーの高い経営者の場合

ITについてかなり勉強をしていて、費用や労力もかけているのに成果が上がっていないホームページの再構築依頼については、取り組みの難易度が高い可能性があり、注意が必要です。以下を確認し、手に負えない場合は請け負わない選択もありかと思います。

支援者自身より専門性の高いプロに心当たりがあれば、相談・紹介するのも手です。支援先企業の課題を解決するのが目的であり、紹介でも喜ばれることはあります。

アクセス分析を行っている場合は、アクセス分析の結果を診てから考えてみます。アクセス分析を行っていない場合は、古いソフトウェアを使ったホームページなど、アクセス分析ツールに対応していない可能性もあります。

アクセス分析ができるソフトウェアに変える提案も手ですが、移行作業はお教えするだけで十分で、請け負うのは診断士の役目ではないでしょう。

技術的な知識は依頼企業の方が上手で教えることは何もないといった場合は、ホームページに掲載している商品やサービスの強みが伝わる形になっているかも確認します。この際は、ホームページの製作者視点でなく、顧客視点での意見や提案が役に立つこともあります。

商品やサービスの強みがあるのに見える化ができていない場合や、見せ方に問題がある場合は、コンテンツに改善の余地があると言えます。しかしながら、そもそも強みがない場合、または、時代遅れでニーズがない・高すぎる・競合が強すぎて差別化できていない場合は、ホームページ構築支援ではなく、経営診断や改善提案に変更する必要があります。

経営者のITリテラシーに問題なく、一般的な依頼の場合

ホームページに期待すること、割けるリソース、やる気などを確認します。確認項目を以下の通り、頭文字を「さしすせそ」で整理してみました。

(さ)割ける時間と予算

(し)社長が必要性を感じているか、社長か従業員がブログなどを書けるか

(す)スペック(PCと周辺機器・ソフト・ネットワーク・サーバーの状況)

(せ)製品・サービス・従業員について、コンテンツの内容や写真をどの程度準備できるか

(そ)ソリューションはなにか(ホームページで解決したい課題は何か)

上記確認とコミットメントが不十分のまま作業を開始すると、作業が途中から進まなくなったり、手戻りが発生したりすることがあります。

さて、第3回では、経営者のITリテラシー、支援者自身のITスキルに照らし合わせて案件対応の基本方針を決めるための手順について紹介しました。第4回では、ホームページをどんな人に見てもらいたいのか、見てもらうのにどういった工夫が必要なのか「ステップ4:ターゲット顧客の明確化」を紹介しますので、ご期待ください。

伊藤由美子
神奈川県中小企業診断協会/マーケティング実践研究会