12月28日の定例会では、デザイン思考講座の第4回目として、参加者はチームに分かれ、支援先が抱えるテーマについて顧客の潜在ニーズを深掘りしました。具体的には、潜在ニーズに対する解像度を高めるため、3時間の演習を行い、「インタビュー対象の偏り」や「課題の曖昧さ」といった問題を解消し、顧客視点を重視した柔軟な発想で取り組むことを目指しました。
1.実施概要
開催日時
2024年 12月29日(土) 14:00-17:00
実施方法
リアルのみ (かながわ県民センター)
2. 各チームの活動
ブランドチーム(株式会社和える)
「日本の伝統を次世代につなぐ」を強みとして、多岐にわたる事業を展開する株式会社和える様の『教育事業の売上拡大』を支援しています。
今回の定例会では、多くの企業が、いかに従業員のエンゲージメントを向上させたらよいかという悩みを抱えており、解決するには次の3つの要素を分析する必要があります。即ち、キャリア開発の機会、ビジョン共有とチームワーク・帰属意識です。これらの要素を分析し改善できれば、エンゲージメントの向上につながると考えました。さらに研修会社が力を入れている競争要因を調べ戦略キャンパスを作成し強化すべき要因とそうでないものを区分けしました。
今後は、このプランの実現可能性を検証するとともに、和える様の強みを活かせる対象顧客をより広く検討し、研修プログラムの提案内容をブラッシュアップしていく予定です。
新事業開発チーム(Aホテル)
12月20日に社長様に対してプロジェクトの中間報告を行い、次回12月30日に再度社長様と打ち合わせを予定しているため、その事前すり合わせを行いました。
中間報告と並行して実施していたアンケートの結果から導き出された分析内容を鑑み、今一度原点に立ち返ってステップ論で議論することに方向修正いたしました。
STEPの大きな方向性は以下の通りです。
社長様と方向性をすり合わせの上で進めてまいります。
情報発信チーム(社会課題解決型新事業『1piece for 2PEACE』)
物流企画会社S社の新規事業として、障がい者就労支援施設で製造されたクッキーを企業内で販売し、売上の一部を生活困窮者に寄付するモデル構築を支援している。この取り組みは、企業のCSR活動を通じて従業員が日常的に社会貢献活動に参加できる機会を提供することを目的としている。
本サービスのコンセプトは次のとおりである。まず、企業側のCSR担当者には、従業員参加型の社会貢献を実現するパッケージを提供し、企業のブランド価値向上を図る。一方、クッキー購入者には、美味しい商品を楽しみながら気軽に社会貢献活動に参加できる満足感を提供する。また、購入の結果が障がい者や生活困窮者支援につながる仕組みが特徴である。
加藤講師は、企業の活動が「グリーンウォッシュ」と見なされないよう注意し、CSR活動が企業の課題解決に直結する動機づけが重要であると指摘した。今後、企業が抱える課題の解消を視野に入れ、より実効性のあるビジネスモデルの構築が期待される。
売上拡大チーム(未来の社会を見据えた新たなモビリティ事業企画)
本業が看板製作で、太陽光発電による常夜灯を作成している関係先企業S社が、新たに売り出している小型EV車(NINA)の用途、販売先等を拡大していくべく、プロジェクトを行っています。
ここまで、①主に高齢者に普通乗用車に代わる低コストで安心な移動手段を供給する、②災害時に停電が起こった場合に比較的手軽に電源を供給する、ための用途を検討してきましたが、
代表から、もう少し競合製品を誰が買っているのかを検討し、それらの人の声を聞くべきではないかとの指摘がありました。
競合他社の例を見てみると、地域に根差した法人(信用金庫、農協、ヤクルト、ほか配達を行っている店)で小型EV車を用いられているようでした。
これらの法人をはじめとする地域の金融機関、企業であれば通常は移動や運搬手段として用いられつつも、災害時には太陽光発電による給電設備として被災地で活用される場面もありうると考え、今後、これらの方々の声も踏まえながら用途の拡大の検討を進めていくこととしています。
スポーツマーケチーム(ProPadel Japan株式会社様とパデルを盛り上げる)
ProPadel Japan株式会社様と共に、世界規模で急成長するスポーツ「パデル」を国内でも盛り上げるため、認知度・利用人口増加、神奈川県のパデルコート増設をミッションに活動しています。
今回のディスカッションでは、老若男女がプレイできるパデルの特徴を活かし、「孫とできる世界のパデルをあなたの街で家族とともに!」というコンセプトを設定しました。ターゲットは新たな企画を欲していたり、シニア層の深掘りや若年層の顧客開拓を目指すスポーツジムの企画担当者とし、ターゲットへの提供価値とそれをどのように提供するか検討しました。
加藤先生からのコメント
- スポーツ普及にマーケティングを取り入れる手法はこれまで日本では少なかったが、近年はDeNA等でも取り入れられており面白い試みである。
- 呼び込む顧客層をシニアなのか20~40歳代とするのか絞ったほうがよい。シニア層はボリュームがある一方で、シニア向けスポーツと認知されてしまうと若い世代への普及が疎外される懸念がある(ゲートボールに近いポジション)。20~40歳代のスポーツとして認知されることに成功すると、他の世代にも広がりやすい。どちらのターゲット設定も可能であるため、選択は経営判断とも言える。
3.最後に
当研究会では、新入会員に対して積極的に発表や活動の機会を得てもらおうというスタンスで運営されています。また、研究会内各チームの活動についてもそれぞれのテーマに真剣に取り組んでおり、中小企業にとって必要な支援策を生み出そうという気概に溢れた仲間が集まっています。ご興味を持たれた方は、ぜひ一度体験見学会にご参加ください。
(以上)